一時所得と雑所得②

こんにちは、濵川です。
かつて「I.Q」というゲームソフトがありましたが、
ルールも操作方法も知らずにやった私の知能指数は2でした。

さて前回は、一時所得と雑所得の違いが「営利を目的とした継続的行為から生じたもの
であるか否か」にあることまでご説明しました。
(前者なら雑所得、後者なら一時所得となります。)
一時所得と雑所得①
この違いが、以下の条件のもとでAさんの所得税の計算にどのような影響を与えるかを見ていきましょう。

<条件>
①Aさんが平成28年の間に購入した馬券の総額は1億円である。
②そのうち1,000万円が当たり馬券であり、残りの9,000万円は外れ馬券となった。
③当たり馬券の配当金の総額は1億円であった。

まずはAさんの競馬の儲けが雑所得であった場合を考えましょう。
公的年金等は別ですが、それ以外の雑所得の計算式は以下の通りです。
【 総収入金額 - 必要経費 = 雑所得 】
この場合の必要経費とは、購入した全馬券の金額と考えることができます。
上記の<条件>に照らすと総収入と必要経費はともに1億円となり、
所得ゼロということになります。

では、一時所得だった場合はどうでしょうか。
一時所得の計算式は以下の通りです。
【 総収入金額 - 収入を得るために支出した金額(※) - 特別控除額 = 一時所得 】
特別控除額は、最高50万円まで所得から控除できますよ、というものです。
それは良いとして、問題は※印です。雑所得のように単純に「必要経費」と
するのでなく、「収入を得るために支出した金額」とありますね。
この※印にはただし書きがあり、「その収入を生じた行為をするため、又は、
その収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限る」とされています。

これを上記の<条件>で考えると、「収入を得るために支出した金額」とは馬券全部の
購入費用ではなく、なんと「当たった馬券の購入費用のみ」、すなわち1,000万円ということになります。
つまり、一時所得の金額は 1億円-1,000万円-50万円=8,950万円 となる訳ですね。

簡単にまとめると「競馬の儲けを雑所得として考えるなら外れ馬券は経費になるし、
一時所得として考えると外れ馬券は経費にならない」ということになります。

そうすると、誰しもこの疑問を持ちます。
「じゃあ結局、Aさんの競馬の儲けは雑所得と一時所得、どちらになるんだ?」
「Aさんの馬券取引は『営利を目的とした継続的行為から生じたもの』にあたるのか?」と。

これについては、次回以降見ていきましょう。

濵川でした。