2017-11-24
政府税制調査会(首相の諮問機関)は20日、税制のあり方に関する中間報告をまとめ、個人所得課税の見直しのほか、「スマホ申告」の実現や確定申告・年末調整手続きの電子化による事務負担の軽減などを提言した。副業・兼業、雇用的自営の増加など働き方の多様化が進み、税務手続きを行う者の増加・多様化が見込まれるなか、ICTの活用等を通じて、全ての納税者が簡便・正確に申告等が行える納税環境を整備する。
「スマホ申告」は、2019年1月から、まずは医療費控除やふるさと納税などの特にニーズの強い基本的な申告の類型について、スマートフォン等からの電子申告の実施を実現。その後も随時利用できる対象範囲を広げて、最終的には基本的にスマホのみで手続きが完了する仕組みを目指すという。サラリーマンの副業増加などにより個人で確定申告する人が増えている現状を踏まえ、納税手続きの簡素化を図る。
認証手続きについては、税務署が本人確認の上で発行するIDとパスワードのみで、スマホ専用の申告書作成コーナーに入力して行うイメージ。いずれはマイナンバーカードと連携させ、税務署が発行するIDやパスワードの入力も省略可能にしたい考えだ。ちなみに現在、e-Taxで申告する際には、ID、パスワードに加えて、マイナンバーカード、ICカードリーダライタによる本人認証が必要となっている。
また、確定申告・年末調整手続きの電子化では、保険者の医療費通知データを活用し、簡便に医療費控除申告を行う仕組みの整備や、年末調整について、控除関係機関(保険会社・銀行等)⇒被用者⇒雇用者という流れを電子化し、年末調整手続きが基本的にオンラインで完結する仕組みの整備の実現を目指す。被用者はPCやスマホ等による手続きが可能になり、雇用者は書面を確認・保管する事務負担が軽減される。
一方、法人税関係では、電子申告の普及促進がある。e-Taxシステムの機能改善、提出書類の簡素化、電子署名の簡便化等を着実に実施し、大法人は、法人税等の電子申告を義務化、中小法人は、未利用者や税理士への利用勧奨等を行い、電子申告利用率の85%以上に引上げを、2019年度までに実現したい考えだ。将来的には、ICT環境等を勘案しつつ、中小法人にも電子申告を義務化し、電子申告利用率100%を目指す。
税務手続きの電子化に向けた具体的取組み(国税)は↓
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/zeicho/2017/29zen16kai7.pdf