国税庁、仮想通貨の所得の計算方法等のFAQを公表

国税庁は8月末に、ビットコインなどの仮想通貨の取引で得た利益の所得区分は「原則として、雑所得に区分する」との取扱いを明らかにしているが、1日、仮想通貨の計算方法や具体例等を説明するFAQを同庁のホームページ上で公表した。FAQは、仮想通貨の売却や、仮想通貨での商品の購入、仮想通貨と仮想通貨の交換、仮想通貨の取得価額など9項目を掲載。架空の事例を基に所得の計算方法などを示している。

例えば、3月9日に200万円(手数料を含む)で4ビットコインを購入し、5月20日に0.2ビットコイン(同)を11万円で売却したケース。このように、保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額の差額が所得金額となる。計算式は、「11万円(売却価額)-(200万円÷4BTC)(1ビットコイン当たりの取得価額)×0.2BTC(支払ビットコイン)=1万円」で、1万円が所得金額となる。

また、例えば、3月9日に200万円(手数料を含む)で4ビットコインを購入し、9月28日に15万5000円の商品購入に0.3ビットコイン(同)を支払ったケース。このように、保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額の差額が所得金額となる。計算式は、「15万5000円(商品価額)-(200万円÷4BTC)×0.3BTC=5000円」で、5000円が所得金額となる。

そのほか、仮想通貨の取引により、雑所得の金額に損失が生じたが、この損失は、給与所得等の他の所得と通算できるのかとの問いに対し、雑所得の金額の計算上生じた所得については、雑所得以外の他の所得と通算できないと回答。所得税法上、他の所得と通算できる所得は、不動産所得・事業所得・譲渡所得・山林所得とされているが、雑所得は、これらの所得に該当しないので、他の所得と損益通算できないことを改めて示している。

ビットコインの価格は急上昇し、11月末には1万ドル(約111万円)の大台に乗り、2016年末からの上昇率は10倍を超える。今回のFAQは、こうした市場規模の急拡大や価格高騰を踏まえ、確定申告の対象となる仮想通貨の損益やその具体的な計算方法等を示すことによって、適正な申告を促すことが狙いだ。給与所得者は、給与以外に20万円超の所得があった場合は、確定申告をする必要がある。

国税庁のFAQは↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf