2017-12-15
自民・公明両党は14日、2018年度の与党税制改正大綱を決定した。主な内容としては、(1)所得税の給与所得控除等の見直し、(2)所得拡大促進税制を見直し、控除率を拡大、賃上げ要件を緩和、(3)事業承継税制を拡充し、非上場株式の全株の100%について相続税を納税猶予、などがある。政府は、月内に税制改正大綱を閣議決定して1月召集予定の通常国会に税制改正法案を提出し、今年度中の成立を目指す。
大綱の目玉である所得税改革は、会社員などに適用する給与所得控除を年収850万円以下は一律10万円減らし、年収850万円超は控除額が年195万円を上限とする。一方で、誰にでも適用される基礎控除は一律10万円引き上げて48万円とする。ただし、所得が2400万円を超える高所得者は基礎控除を3段階で減らし、所得2500万円超はゼロになる。所得税の改正としては4年ぶりの純増税となる。適用は2020年1月から。
所得拡大促進税制は、一定の要件(給与総額が2012年度比で3%以上増加など)を全て満たした場合に給与総額の増加分の10%を法人税額から控除できる制度だが、今回の改正で、大企業は、支給額増加率(対前年度比に変更)のほか、国内への設備投資額が当期の減価償却費の90%以上という要件が加わり、これらを満たせば、支給総額増加分の15%が税額控除でき、さらに人材投資で一定基準を満たせば20%の税額控除が認められる。
中小企業は、大企業よりも要件が緩く、1人当たり平均給与等支給額の前年度比は1.5%以上との要件のみ(設備投資要件はなし)で、給与等支給総額の前年度比増加額の15%の税額控除が認められ、さらに人材投資で一定基準を満たした場合は25%の税額控除が認められる。また、中小企業は、非上場株式を経営者から後継者が引き継ぐ場合の相続税が全額(現行は全株式の3分の2を対象に80%)猶予される。
そのほか、(1) 観光財源の確保に「国際観光旅客税(仮称)1000円」の創設、(2) 1人年1000円徴収の「森林環境税(仮称)」の創設(2019年度税制改正において)、(3) たばこ税を2018年10月から3年程度かけて1本あたり3円増税、加熱式たばこの税率を5年かけて段階的に引上げ、(4) 相続税の小規模宅地等の特例の見直し、(5)自営業者等が電子申告利用で青色申告特別控除(最大65万円)を10万円上乗せ、などが盛り込まれている。
2018年度与党税制改正大綱は↓
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/136400_1.pdf