2018-01-18
民間税制調査会(共同代表:三木義一青山学院大学長)は15日、2018年度税制改正に対する見解をまとめ発表した。民間税調は、大学教授や弁護士等で構成され、税制を主権者である納税者の目線から分析し、提言する研究政策提言集団。政府による税制改正の説明は分かりにくく問題も多いとして、2018年度税制改正についても、重要なテーマに絞って、国民のための税制改革を提言するとしている。
2018年度税制改正において給与所得控除を見直し、年収850万円超の会社員等を増税する一方、自営業者等が減税となる所得税改革については、給与所得控除の上限やその適用される収入金額などが「明確な根拠」もなく決まったと指摘。今般の個人所得課税の見直しは、働き方改革などもっともらしい政策目的を掲げているものの、所得課税やその控除をどのように見直すかという基本的な戦略を欠いたものと指摘している。
基礎控除については、合計所得金額2400万円超で控除額が逓減を開始し、2500万円超で消失する仕組みに見直されるが、所得控除方式から税額控除方式に切り替えることで控除の恩恵の平準化は図られることから、本来、人的控除の適用に(納税者本人の)所得制限は設けるべきでないと指摘。所得控除のメリットである簡便さを放棄して消失型の所得控除にするならば、税額控除を全面的に採用する方向もあると提言している。
そのほか、森林環境税については、既に類似の税金が多くの自治体の法定外税として導入されているが、例えば、長野県の森林税などは積み残し税額がすでに5億円にも達し、森林税の廃止までが提唱されており、こうした最中にこのような税を「国税として徴収する意味が本当にあるのか疑わしい」との疑義を呈している。導入を再検討すべきだし、仮に実施したら3年後にその成果を検証し、国民に選挙で問うべきだと主張している。
最後に、「選挙で税制改正の争点を出して、きちんと争うべき」ことと「増税の必要性を、政治家(特に与党)は責任を持って主張すべき」ことを強く主張。昨年も選挙前には増税策は一切示さず、選挙が終わった翌日から給与所得控除引下げの議論を始めた。これでは、必要な増税も“だまし討ち”と評価され、国民はますます税から逃げるだけ。「税制をまともに議論できる政治家・政党が政権を担うべき」と主張している。
民間税調の提言は↓
http://minkan-zei-cho.jp/wp-content/uploads/8b87a1a0f51bd586d026e898e6ee450d.pdf