資産の販売等に係る収益の額など収益認識等の見直し

昨年7月20日に国際会計基準(IFRS第15号)を踏まえた企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」(2021年4月1日以後に開始する連結会計年度及び事業年度について適用)が、企業会計基準委員会より公表された。これを受けて、2018年度税制改正において、資産の販売等に係る収益の額や資産の販売等に係る収益の額の計上時期など、法人税における収益の認識等が見直される。

資産の販売や譲渡、役務の提供に係る収益の額として所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、原則として、その販売・譲渡をした資産の引渡しの時における価額又はその提供をした役務につき通常得るべき対価の額に相当する金額とすることを法令上明確化する。引渡しの時における価額又は通常得るべき対価の額は、貸倒れ又は買戻しの可能性がある場合においても、その可能性がないものとした場合の価額とする。

資産の販売等に係る収益の額を実質的な取引の単位に区分して計上できることとするとともに、値引き及び割戻しについて、客観的に見積もられた金額を収益の額から控除することができることとする。また、資産の販売等に係る収益の額の計上時期について、資産の販売等に係る収益の額は、原則として目的物の引渡し又は役務の提供の日の属する事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入することを法令上明確化する。

資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って上記の目的物の引渡し又は役務の提供の日に近接する日の属する事業年度の収益の額として経理した場合には、上記の法令上明確化された原則にかかわらず、その資産の販売等に係る収益の額は、原則としてその事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入することを法令上明確化する。

返品調整引当金制度は、廃止する。なお、2018年4月1日において返品調整引当金制度の対象事業を営む法人について、2021年3月31 日までに開始する各事業年度については現行どおりの損金算入限度額による引当てを認めるとともに、2021年4月1日から2030年3月31日までの間に開始する各事業年度については現行法による損金算入限度額に対して1年ごとに10分の1ずつ縮小した額の引当てを認める等の経過措置を講ずる。

そのほか、長期割賦販売等に該当する資産の販売等について延払基準により収益の額及び費用の額を計算する選択制度は、廃止する。なお、2018年4月1日前に長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行った法人について、2023年3月31日までに開始する各事業年度について現行の延払基準により収益の額及び費用の額を計算することができることとする等の経過措置を講ずる。