2018-01-24
企業の競争力強化のための税制措置として、2018年度税制改正大綱に、(1)特別事業再編を行う法人の株式を対価とする株式等の譲渡に係る所得の計算の特例の創設、(2)組織再編税制の見直しが盛り込まれた。(1)は、生産性向上を実現するために重要な役割を担う、大規模かつ迅速な事業再編を推し進めていく観点から、産業競争力強化法の改正を前提に創設される課税の繰延措置だ。
産業競争力強化法の改正を前提に、法人が、同法の特別事業再編計画(仮称)の認定を同法の改正法の施行の日から2021年3月31日までの間に受けた事業者の行ったその特別事業再編計画に基づく産業競争力強化法の特別事業再編(仮称)により、その有する株式(出資を含む)を譲渡し、その認定を受けた事業者の株式の交付を受けた場合には、その譲渡した株式の譲渡損益の計上を繰り延べることとする(所得税についても同様)。
組織再編税制について、スピンオフ税制は、従来は非適格組織再編と取り扱われてきたが、2017年の税制改正により、2017年4月1日以後、(1)分割法人が自己の事業の一部を切り出し、新たに設立する分割承継法人に移転する分割(単独新設分割型分割)及び(2)完全子法人株式の全部を株主へ分割する株式分配等を利用したスピンオフが、一定の要件を満たすものについては適格組織再編として取り扱われることとなった。
さらに、2018年度税制改正において、完全支配関係がある法人間で行われる当初の組織再編成の後に適格株式分配を行うことが見込まれている場合の当初の組織再編成の適格要件のうち完全支配関係の継続要件について、その適格株式分配の直前の時までの関係により判定することとする。これによって、あらかじめ設立した準備会社に移転する事業に必要な許認可を取得させてから行うスピンオフも、適格組織再編成として取り扱われる。
そのほか、当初の組織再編成の後に完全支配関係がある法人間で従業者又は事業を移転することが見込まれている場合にも、当初の組織再編成の適格要件のうち従業者従事要件及び事業継続要件を満たすこととする。また、いわゆる無対価組織再編成について、適格組織再編成となる類型の見直しを行うとともに、非適格組織再編成となる場合における処理の方法が明確化される。