2018-01-25
2018年度税制改正に向けて、賃金や先進技術の投資を増やした企業に対して、負担額の軽減を図る法人税制が検討される。帝国データバンクが発表した「法人税改革に対する企業の意識調査」結果(有効回答数:約1万社)によると、法人税改革への認知度は、「内容を含めて知っている」企業は4.9%、「概要のみ知っている」の67.9%と合わせると72.8%となり、企業の7割超が少なくとも法人税改革の要旨を認知していることが分かった。
2018年度税制改正大綱では、生産性向上のための設備投資や持続的な賃上げを積極的に行う企業の税負担を軽減する一方、消極的な企業に対しては一部の優遇制度(租税特別措置)を見直す方針が示されている。そこで、今回の法人税改革を受けて賃上げを「実施する(予定含む)」と回答した企業は30.3%、「実施しない(予定含む)」は16.9%、「検討中」は29.5%となり、企業の約3割が賃上げの実施を考えていた。
また、設備投資では、「実施する(予定含む)」企業は20.3%、「実施しない(予定含む)」は23.9%、「検討中」は27.0%となった。「実施する(予定含む)」と回答した企業を従業員数別にみると、賃上げでは従業員数6~100人以下の企業で3割超、設備投資では21~1000人以下の企業で2割を超える。賃上げは資本金による実施意向に差がみられるものの、設備投資は賃上げほど大きな違いが表れていない。
法人課税制度改革で政府に求める政策(3つまで回答)では、「法人実効税率の引下げ」が48.0%で最も多く、次いで、「法人税減税」(36.1%)が3割台、さらに「補助金や助成金の拡充」(28.2%)や「税制の簡素化」(27.7%)が続いた。他方、「法人実効税率の引下げ」、「外形標準課税の見直し」は大企業で多く、「法人事業税減税」、「法人住民税減税」、「法人税減税」、「固定資産税の見直し」は中小企業で多かった。
今回の2018年度税制改正における法人税改革による日本経済活性化への寄与について尋ねたところ、「寄与する」と回答した企業が28.6%、「寄与しない」と回答した企業が26.2%とほぼ二分され、見方が分かれる結果になった。ただし、「分からない」と回答した企業が45.3%と半数近くにのぼっており、日本経済全体に与える影響について、判断しきれていない企業が多い様子がうかがえる。
同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180104.pdf