生産緑地法の一部改正を受けた生産緑地税制の見直し

2017年4月28日に生産緑地法の一部が改正され、「特定生産緑地指定制度」が創設された。同制度は、生産緑地地区指定後30年経過により買取申出が可能となるのに対し、新たに特定生産緑地に指定することで、買取申出の期日を10年先送りするものだ。買取申出とは、主たる従業者の死亡や故障で従事困難になったとき、又は生産緑地地区指定告示日から30年経過時に、市区町村に対し時価で買い取るべき旨を申し出ることができる制度だ。

2022年に生産緑地地区の最初の指定から30年が経過するが、該当する農家は、30年経過前に特定生産緑地を指定するか、指定せずに常時買取申出可能な生産緑地として継続するか、買取申出して宅地化するかの選択を迫られる。生産緑地の一部改正を受けて、2018年度改正において、生産緑地に関する税制が見直され、地区指定から30年経過を迎える生産緑地所有農家が採り得る制度上の選択肢が明確になると言われる。

2018年度税制改正では、特に三大都市圏特定市の生産緑地地区における固定資産税の農地課税と相続税納税猶予制度が、農業継続する上で注目される。まず、生産緑地法の改正に伴い、都市計画法に規定する生産緑地地区の区域内の農地について、生産緑地地区の区域内の農地のうち特定生産緑地の指定がされたもの(指定の期限の延長がされなかったものを除く)に係る固定資産税及び都市計画税について、現行制度と同様の措置を講ずる。

また、生産緑地地区の区域内の農地のうち特定生産緑地の指定又は指定の期限の延長がされなかったものに係る固定資産税及び都市計画税について、宅地並み評価とした上で、生産緑地地区の区域内の農地に該当しないこととなった市街化区域農地と同様の激変緩和措置を講ずる。激変緩和措置は、5年間で毎年20%ずつ段階的に宅地並みに引き上げていくものとみられている。

一方、相続税納税猶予制度については、(1)特例農地等の範囲に、特定生産緑地である農地等及び三大都市圏の特定市の田園住居地域内の農地を加える、(2)特定生産緑地の指定又は指定の期限の延長がされなかった生産緑地については、現に適用を受けている納税猶予に限り、その猶予を継続することとされる。以降の相続人は適用を受けることができない。贈与税の納税猶予制度についても同様の措置が講じられる。