2018-02-06
国税庁は昨年6月にICT・AIを活用した約10年後の「税務行政の将来像」を公表。その中で、社員の所得税の過不足を会社が代わって精算する年末調整の手続きを電子化する方向を示したが、2018年度税制改正において、生命保険料控除、地震保険料控除及び住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(「住宅ローン控除」)に係る年末調整手続きを電子化することが盛り込まれた。
現在、住宅ローン控除や生命保険料控除、地震保険料控除を適用するには、年末のローン残高証明書や保険料控除証明書を銀行や生命保険会社等から郵送で受け取り、これら紙の証明書を勤務先に提出する必要がある。その際、給与所得者の保険料控除申告書などの関係書類を作成して一緒に提出する必要があり、会社や社員からは、一連の手続きが非常に煩雑との指摘が多い。
年末調整の手続きの電子化では、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、住宅ローン控除申告書、住宅ローン控除証明書、住宅ローンの年末残高証明書の5つの年末調整関係書類の書面による提出に代えて、電磁的方法による提供(電子提供)をすることができるように電子化する。インーネット上で簡単に手続きができるようにすることで個人や企業の利便性を高め、事務負担の軽減を図るのが狙いとなる。
これらの見直しとともに、住宅ローン控除申告書等に添付すべき住宅ローン控除証明書、年末残高証明書については、それらの証明書の発行者から電子メール等により提供を受けたその住宅ローン控除証明書、年末残高証明書に記載すべき事項が記録された電子データを印刷した書面で、真正性を担保するための所要の措置が講じられているものであれば、住宅ローン控除申告書等に添付することができるようになる。
これらの改正は、2020年10月1日以後に提出する給与所得者の保険料控除申告書や住宅ローン控除申告書について適用する。なお、住宅ローン控除証明書と住宅ローンの年末残高証明書の電子データによる提出は、居住年が2019年以後である者に限られる。以上のように、年末調整手続きの電子化は、保険会社や銀行等の控除関係機関→個人→税務署・雇用主という情報の流れが基本的にネットで完結する仕組みを目指す。