2018-02-27
財務省が2月に国会に提出した「2016年度租税特別措置の適用実態調査結果報告書」によると、2016年度(2016年4月~17年3月)に終了した事業年度又は連結事業年度において、適用額明細書の提出があった法人数は118.3法人(2015年度113.1法人)で前年度より4.6%増加、適用件数は法人税関係の租税特別措置82項目(同83項目)について延べ183.3万件(同174.3万件)と5.2%増加していることが分かった。
租税特別措置の種類ごとにみると、中小企業への軽減税率(資本金1億円以下の中小企業には年800万円以下の所得に特例で15%(本則の軽減税率は19%)の税率)を適用する「法人税率の特例」(2措置)は、適用件数が88.9万件(2015年度比4.5万件増)、適用額が3兆4412億円(同2140億円増)と大きく増えている。これは、景気回復によって法人税を支払う黒字企業が増加したためとみられている。
また、「税額控除」(18措置)は、適用件数が16.2万件(2015年度比0.8万件増)、適用額が1兆481億円(同▲82億円減)だった。主な内訳は、2015年度から適用要件を緩和した「所得拡大促進税制」が3184億円(同410億円増)と増加したが、「研究開発税制」が5926億円(同▲232億円減)、「生産性向上設備投資促進税制(一部)」が971億円(同▲210億円減)と減少した。
「特別償却」(28措置)は、適用件数が6.8万件(2015年度比▲0.5万件減)、適用額が1兆7869億円(同▲5750億円減)。主な内訳は、「中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却」は5971億円(同2324億円増)と増加したが、「生産性向上設備投資促進税制(一部)」が8937億円(同▲3989億円減)と減少した。また、「準備金等」(15措置)は、適用件数が1.3万件(同▲0.1万件減)、適用額が8212億円(同▲1216億円減)だった。
なお、適用数の実績が想定外に少ない租税特別措置等は、必要性や将来見込みの検証を徹底する必要があることから、税制改正プロセスでは、総務省による政策評価の点検結果や、財務省の適用実態調査の結果を活用して、租税特別措置の必要性や政策効果を検証している。2018年度税制改正でも、期限が到来する法人税関係租税特別措置について、廃止又は縮減を伴う見直しを行う予定とされている。
同報告書の概要は↓
http://www.mof.go.jp/tax_policy/reference/stm_report/fy2017/gaiyou.pdf