企業主導型保育施設用資産の割増償却制度の創設

深刻な待機児童問題への対策のひとつとして注目されているのが、内閣府が2016年度から始めた取組みである「企業主導型保育事業」だ。様々な働き方に合った保育を柔軟に提供できること、条件を満たせば国から補助金も出ることなどから、スタート時から全国で多くの企業主導型保育施設が設置されている。2018年度税制改正においては、企業主導型保育施設用資産の割増償却制度が創設される。

青色申告書を提出する事業者が、2018年4月1日から2020年3月31日までの間に、子ども・子育て支援法の施設のうち保育事業を目的とするもの(「事業所内保育施設」)の新設又は増設をする場合において、その新設又は増設に係る事業所内保育施設を構成する建物等及びその幼児遊戯用構築物等(「企業主導型保育施設用資産」)の取得等をして、その事業者の保育事業の用に供したときに税制上優遇する。

具体的には、その企業主導型保育施設用資産につき、3年間(その企業主導型保育施設用資産に係る事業所内保育施設につきその助成を行う事業に係る助成金で一定のものの交付を受ける期間に限る)、普通償却限度額の100分の12(建物等及び構築物は、100分の15)相当額の割増償却ができることとする。2017年度税制改正では保育に係る施設用の固定資産に係る固定資産税等が軽減されたが、引き続き保育施設用資産も軽減される。

上記の事業所内保育施設の新設又は増設をする場合とは、その新設又は増設をする事業所内保育施設とともにその事業所内保育施設における保育事業の用に供する遊戯用の構築物、遊戯具その他の一定の減価償却資産(「幼児遊戯用構築物等」)の取得等をする場合で、かつ、その事業所内保育施設につき子ども・子育て支援法による助成を行う事業に係る助成金の交付を受ける場合に限られる。

なお、2017年度税制改正においては、2019年3月31 日までの2年間に子ども・子育て支援法に基づく政府の補助を受けた事業主等が、一定の保育に係る施設を設置する場合には、その施設の用に供する固定資産に係る固定資産税・都市計画税の課税標準を最初の5年間、土地及び家屋は、価格の2分の1を参酌して3分の1以上3分の2以下の範囲内において市町村の条例で定める割合を乗じて得た額に軽減するなどの措置が新設されている。