2018-03-19
少子化が進むなか、政府は成年年齢を引き下げる民法改正法案を3月13日に閣議決定し同日、国会に提出した。民法4条では、「年齢20歳をもって、成年とする」と規定している。民法改正は、これを18歳に引き下げる。施行は2022年4月1日から。民法が公布された1896(明治29)年以来約120年ぶりの変更になるが、飲酒や喫煙、馬券購入などへの影響が取り沙汰されている。では、税制への影響はどうなるのだろうか。
民法改正法案は附則で、成年年齢引下げに伴う関係法律の整備を規定しており、「未成年者飲酒禁止法」では、現行どおり20歳未満の飲酒を禁止する。ただし、法律の名称を、「二十歳未満ノ者ノ飲酒の禁止二関スル法律」に改める。これを受け、酒税法中の同様の文言も改める。つまり、飲酒は別の法律で規定しており、民法とは連動していない。未成年者喫煙禁止法で禁止されている20歳未満の喫煙も据え置かれる。
2018年度税制改正では、成年年齢を引き下げる民法改正を前提とする税制改正項目はないが、今後、民法改正の影響として、相続人が未成年者のときに、相続税の額から一定の金額を控除できる「未成年者の税額控除」の扱いが出てきそうだ。この制度の控除額は、未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円で計算した金額。例えば、未成年者の年齢が15歳の場合、未成年者控除額は5年×10万円=50万円となる。
しかし、今回の民法改正法が成立して、成年年齢が18歳に引き下げられた場合に、税法でも年齢を18歳にすると、上記の例では18歳になるまでの年数である3年となることから、控除額が減額され30万円に減ってしまう。このため、今後の税制改正において、対象年齢は変更せずに、「未成年者の税額控除」という名称のみを「20歳未満の者の税額控除」と見直すことも考えられる。