2017年度改正のうち2018年分から適用される主要事項

2017年度の改正事項のうち、2018年分の所得税から適用される主なものには、まず、配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しがある。配偶者控除は、控除額について、居住者の合計所得金額に応じて、(1)900万円以下は38万円(老人控除対象配偶者は48万円)、(2)900万円超950万円以下は26万円(同32万円)、(3)950万円超1000万円以下は13万円(同16万円)、1000万円を超える居住者は、配偶者控除の適用はできないこととされた。

配偶者特別控除については、対象となる配偶者の合計所得金額を38万円超123万円以下(改正前:38万円超76万円未満)とし、その控除額は、配偶者の合計所得金額及び居住者の合計所得金額に応じて定められた。例えば、配偶者の合計所得金額が38万円超85万円以下の場合は、居住者の合計所得金額が900万円以下は38万円、900万円超950万円以下は26万円、950万円超1000万円以下は13万円がそれぞれ控除される。

なお、改正前の制度と同様に、合計所得金額が1000万円を超える居住者については、配偶者特別控除の適用はできないこととされている。また、配偶者特別控除については、2018年度においても改正が行われており、対象となる配偶者の合計所得要件を48万円超133万円以下とし、その控除額の算定の基礎となる配偶者の合計所得金額の区分が、それぞれ10万円引き上げられる。適用は2020年分以後の所得税から。

次に、研究開発税制について、(1)試験研究の総額に係る税額控除制度について、税額控除割合を見直した上、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除額の上限の特例、(2)中小企業基盤強化税制について、増減試験研究費の割合が5%を超える場合の特例を措置するとともに、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除額の上限の特例を措置している。

さらに、(3)試験研究費の増加額又は平均売上金額の10%相当額を超える試験研究費の額に係る特別税額控除制度について、試験研究費の増加額に係る税額控除を廃止するとともに、適用期限を2年延長し、上記(1)又は(2)のうち一定の特例の適用を受ける年は制度の適用はできないこと、(4)試験研究費の範囲について、対価を得て提供する新たな役務の開発を目的に行われる一定の試験研究に係る費用を追加、などの見直しが行われている。

そのほか、雇用促進税制について、一定の金額にそれぞれ特定新規雇用者数を乗じて計算される額の合計額を地方事業所税額控除限度額とすることや、所得拡大促進税制について、中小事業者の税額控除限度額の見直しとともに、中小事業者以外の個人の平均給与支給額に係る要件及び税額控除限度額の見直しが行われている。なお、雇用促進税制、所得拡大促進税制はともに、2018年度においても改正が行われているので注意したい。