2018-05-16
消費税は、消費一般に広く公平に負担を求める税の性格からみて、課税対象になじまないものや社会政策的な配慮から課税の対象としない「非課税取引」がある。その代表的なものに、土地の譲渡や貸付けがある。この土地には、土地の上に存する権利も含まれる。土地の上に存する権利とは、地上権、土地の賃貸借、地役権、永小作権などの土地の使用収益に関する権利をいう。
したがって、土地や土地の上に存する権利を貸し付けた場合の地代、権利金、更新料、名義書換料なども非課税となる。しかし、土地等を一時的に使用させる場合は課税対象となる。それは、土地の貸付期間が1ヵ月に満たない場合及び建物、駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合をいう。例えば、コンクリート敷きの駐車場はもちろん、地面に駐車スペースを示すヒモを打ち込んだ状態で貸し付ければ課税対象となる。
さらに、事務所などの建物を貸し付ける場合の家賃は課税の対象となる。この場合、家賃を土地部分と建物部分に区分している場合でも、その総額が建物の貸付けの対価として取り扱われる。一方で、住宅用の貸付けは、貸付期間が1ヵ月に満たない場合や旅館・ホテルなどの施設の貸付けに該当する場合を除き非課税となる。住宅とは、一戸建ての住宅のほか、マンション、アパート、社宅、寮などである。
つまり、建物の居住用での賃貸借は非課税取引、非居住用は課税取引で、土地部分を分けることに意味はない。また、事業用の建物の賃貸借契約の締結や更新に伴う保証金、権利金、敷金、更新料のうち、返還しないものは、権利の設定の対価となるので、資産の譲渡等の対価として課税の対象となる。これに対し、契約の終了に伴い返還される保証金や敷金などは、資産の譲渡等の対価に該当しないので、課税の対象にはならない。
そのほか、土地の売買や賃貸借に関して、仲介業者に支払う仲介手数料は、土地の代金でなく仲介というサービスの対価なので、課税取引となる。以上のように、土地関連取引には、課税か非課税か判定が難しいものも少なくないので十分に留意したい。なお、課税対象外(不課税)と非課税は別概念で、混同すると消費税の納税額が変わってしまう。仕分けの際には、きちんと「非課税売上」又は「非課税取引」を選択する必要がある。