夏祭りや花火大会などへの協賛金支出の取扱いは?

7月から8月にかけては「青森ねぶた祭り」(青森)や「祇園祭」(京都)、「阿波踊り」(徳島)など、夏祭りの季節である。全国各地で盆踊りや花火大会などが催されるが、これらの祭りの運営に欠かせないのが企業からの協賛金である。地元の企業にとっては、こうした協賛金の支出は地域住民との関係を深める少ない機会でもあるが、税務上の処理はどうなるのだろう。

例えば、夏祭りに支出した協賛金は、主催する神社の境内や町内会の神酒所などに、提供社名が張り出されるので宣伝的な効果がある。しかし、協賛金という支出は寄附金そのものであるから、税務上は寄附金として処理せざるをえない。一般寄附金として限度額計算を超える部分は損金算入できないことになる。これは、現金で寄附する場合だけでなく、ビールやお酒、ジュースなど品物で差し入れる場合も同様である。

ただ、夏祭りや盆踊りの際に、商店街などの道筋の両側に社名や店名を入れた提灯を吊るして祭りの雰囲気を一層盛り上げているケースがあるが、この場合の社名入りの提灯の費用は、看板などと同じ効果をもつと考えられることから、広告宣伝費として一括での損金算入が認められる。花火大会などで花火代を負担することでパンフレットに社名が印刷される場合も広告宣伝費として処理できる。

また、イベントなどの主催者が顧客や取引先であるなど、事業と関係がある場合に、その顧客や取引先との今後の取引の円滑化などを目的に支出した協賛金等は、交際費に該当する可能性があるので注意が必要だ。交際費に該当すると全額が損金とならない可能性もあるが、中小企業の交際費については、特例によって一定金額(現行は800万円)まで全額損金算入できるので、あまり気にする必要はないと思われる。

なお、協賛金に対する消費税の課税関係は、金銭での支出は課税仕入にはできないが、ビールやお酒など現物での寄附は仕入税額控除の対象となる。ただし、現物の支出は、金銭での支出と異なり交際費としなければならない。また、上記の社名入りの提灯やうちわ、花火のパンフレットなど広告宣伝費として処理できる費用も、消費税法上、仕入税額控除の対象となることはいうまでもない。