2018-08-16
去る7月2日に公表された2018年分の路線価は前年比0.7%増と3年連続で上昇しており、都市部を中心に再開発や不動産向け投資が拡大し、土地取引が活発化している。ところで、固定資産税は毎年1月1日における土地等の所有者に対して課税されるものだ。したがって、年の中途で土地の売買が行われた場合は、買主には納税義務はなく、あくまでも1月1日現在にその土地を所有していた売主が納税義務者となる。
不動産の売買実務では、売主が売買により年の途中からその土地等を所有することになる買主に対し、その年末までの期間に対応する固定資産税相当額の負担を求め、その不動産の譲渡日からその年の12月31日までの期間に対応する固定資産税相当額(「固定資産税精算金」)を、譲渡代金とは別に買主から受領する慣習が定着している。これが不動産売買における固定資産税の精算処理である。
つまり、通常は、売買当事者間で協議し、その年度分の固定資産税について所有期間に応じた負担額を決め、買主はその額を負担することになる。そこで、仮に売買当事者がともに法人だった場合、税務上その固定資産税精算金の取扱いが問題となる。税法上、固定資産の取得に関連して支出する費用のうち、不動産取得税や登録免許税などの租税公課は、固定資産の取得価額に算入しないことができることとされている。
これは、不動産取得税等は、固定資産の取得に伴う一種の経費ではあるが、どちらかといえば事後的な費用であり、固定資産の取得原価とは言い切れないことによる。だから、不動産取得税や登録免許税は、土地の取得原価を構成しないのが原則である。一方、固定資産税については、1月1日現在の所有者でない限り、買主に納税義務はなく、この固定資産税精算金は、買主において土地の取得原価を構成することになる。
買主が所有期間に応じて負担した固定資産税精算金は、その年において固定資産税を納付せずに土地を利用することができる対価であり、土地そのものの対価ということができるからだ。したがって、固定資産税精算金を土地等の売買価格とは別に支出したとしても、その負担額相当額は土地等の取得価額に算入しなければならない。一方、売主は、その負担額相当額を譲渡対価に含めなければならないので注意が必要となる。