2018-12-17
自民・公明両党は14日、来年10月に予定される消費税率10%への引上げに伴う対応として、需要変動の平準化に向けた取組みなどを中心とした2019年度与党税制改正大綱を決定した。消費税増税に伴う駆込み需要や反動減対策としては、住宅と自動車の減税措置を柱とし、住宅と自動車は消費税増税後に購入すればメリットのある措置を拡充した。一方で、所得税や法人税などの大きな改正はなく、消費税増税を最優先する改正となった。
住宅に係る需要変動の平準化のための措置は、2020年末までの間、消費税率10%が適用される住宅取得等について、住宅ローン控除の控除期間を3年延長し13年間とする。その際、11年目以降の3年間については、消費税率2%引上げ分の負担に着目した控除額の上限を設ける。所得税額から控除しきれない額は、現行制度と同様に、控除限度額の範囲内で個人住民税から控除する。
自動車に係る措置では、自動車の保有に係る税負担を恒久的に引き下げる。自動車税は、消費税増税後に新たに購入・登録した車を対象に、小型自動車を中心に全ての区分において、税率を引き下げる。自動車取得時の負担感も緩和する。消費税増税時の2019年10月1日から2020年9月30日までの間に自家用乗用車(登録車及び軽自動車)を取得した場合、環境性能割の税率を1%分軽減する。
また、消費税率引上げ時の価格設定の柔軟化も注目される。大綱は、「消費税率引上げ前の需要増等に応じた値上げが妨げられないことや、消費税率引上げ後に禁止されない宣伝・広告のあり方等を改めて事業者に周知し、小売業者が委縮することなく柔軟に価格設定できる環境を整える」と明記した。つまり、駆込みが起こったときの値上げや消費が落ち込んだときの値下げを認めるもので、需要変動の平準化を目的とする。
中堅・中小・小規模事業者の支援では、個人事業者の事業承継促進のため相続税・贈与税の新たな納税猶予制度を創設する。現行措置の対象である事業用の宅地に加え、事業用の建物及び一定の減価償却資産を対象とし、税額の猶予割合を100%とするほか、相続のみならず生前贈与も可能とするなど、思い切った措置を講じる。新た納税猶予制度は10年間の特例措置とし、現行措置との選択適用となる。
そのほか、(1)イノベーション促進のための研究開発税制の見直し、(2)ふるさと納税の健全な発展に向けた制度の見直し、(3)地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置、(4)前年の合計所得金額が135万円以下のひとり親に対し、個人住民税を非課税とする措置、(5)教育資金の一括贈与非課税措置について、受贈者(子や孫)に年収1000万円までの所得制限をつけた上で適用期限を2年延長、などが盛り込まれている。
2019年度与党税制改正大綱は↓
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/138664_1.pdf?_ga=2.260489290.656823477.1544859315-1822892786.1544763507