2019-02-07
政府は5日、国税関係の2019年度税制改正を規定した所得税法等の一部改正法案を閣議決定し、同日、国会に提出した。施行は本年4月1日。与党が国会で多数を占める上、本年10月の消費税率引上げ後に景気が冷え込まないように対応する住宅や車の購入者に対する減税などを柱に景気対策を重視した内容であり、与野党が大きく対立するような改正もないことから、年度末までには成立する見通し。
個人所得課税では住宅ローン控除を拡充する。消費税率10%が適用される住宅取得等について、控除期間を3年延長し13年とする。11年目以降の3年間は消費税率2%引上げ分の負担に着目した控除額の上限を設定する。車体課税は、自動車重量税のエコカー減税について、1回目車検時の軽減割合等を見直し、2回目の車検時の免税対象を電気自動車等や極めて燃費水準が高いハイブリッド車に重点化するなどの見直しを行う。
資産課税では個人事業者の事業承継税制を創設。事業用の土地、建物、機械等について、適用対象部分の課税価格の100%に対応する相続税・贈与税額を納税猶予する。10年間の時限措置として、現行の事業用小規模宅地特例との選択適用となる。一方、教育資金や結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置については、受贈者に1千万円の所得要件を設けるなど格差の固定化につながらない見直しをする。
法人課税では研究開発税制を見直す。オープンイノベーション型(特別試験研究費に係る税額控除制度)は、対象を追加し、控除税額の上限を5%から10%に引き上げ、総額型(試験研究費の総額に係る税額控除制度)は、税額控除率を見直し、研究開発を行う一定のベンチャー企業の控除額の上限を25%から40%に引き上げる。高い水準の研究開発投資を行っている企業について、総額型の税額控除率を見直し、高水準型を廃止する。
中小企業者等の法人税の軽減税率の特例及び投資促進税制を延長する。そのほか、納税環境の整備として、金地金等の密輸に対応するため、一定の場合には消費税の仕入税額控除を適用しない措置を設ける。また、事業者等に対する任意の照会について税法上明確化するとともに、高額・悪質な無申告者等を特定するため特に必要な場合に限り、必要最小限の情報を事業者等に照会する仕組みを整備する。
所得税法等の一部を改正する法律案要綱は↓
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/198diet/st310205y.pdf