2019-02-28
金融庁と国税庁による生命保険各社の「節税保険」への規制強化の動きを受けて、規制が入る具体的な期日に関心が高まっている。規制の対象となっているのは、会社が契約者となり、役員等を被保険者として加入する一定期間災害保障重視型の定期保険。保障の範囲を絞り込む代わりに一定期間の解約返戻金が高く設定されており、支払保険料が全額損金算入扱いとなる一方で、中途解約すると保険料の大部分が戻ってくる。
しかし、同保険は過度な節税に利用されるケースが多いことから金融庁が問題視。国税庁が商品の目玉である「節税効果」を規制する課税関係の見直しを決めたことで、件の節税商品の終焉はほぼ確定した。国税庁は2月13日、生保41社の担当者を緊急招集し、同保険の課税方法を定めた通達を抜本的に見直す考えを伝え、生保各社は具体的な見直し案が固まるまで販売自粛しているところだ。
国税庁は、生命保険法人契約に関わる税務上の規定を見直すポイントとして、(1)長期平準定期や逓増定期を始め、これまで商品個別に定めていた損金算入割合の通達を廃止すること、(2)新たな算入ルールについては解約返戻金の返戻率が50%を超える商品を対象とすること、(3)解約返戻金のピーク時の返戻率に応じて、損金算入の割合を区分けすること、を生保各社に示したといわれている。
このように、税務上の規定が抜本的に見直され、支払保険料の損金算入に制限がかけられて、大部分の商品で節税効果が小さくなる見込みだが、気になるのはいつから規制が入るのかという点だ。詳細はまだ明らかにされていないが、多くの生命保険会社では、国税庁が生保各社に同保険の課税方法を定めた通達を見直す考えを伝えた「2月13日」をターニングポイントとし、販売自粛の起点としているようだ。
過去の経緯をみると、2008年2月28日付の逓増定期保険に関わる改定や2012年4月27日付のがん終身保険に関わる法令解釈通達の際には、通達を見直した日以降の契約に対して新ルールを適用し、既契約については遡及適用をしていない。新ルールはパブリックコメントを経て正式決定されるようだが、今回の見直しでは既契約の遡及適用を懸念する声もある。今後の通達改正の動きから目が離せないところだ。