2019-03-08
会社が社宅として利用するためアパートの1室を準備して従業員に貸与している、いわゆる“借上げ社宅”は少なくない。そこで、借上げ社宅に係る消費税の取扱いだが、住宅の賃料は居住用として借りているので非課税取引とされている。しかし、そのほかに共益費、駐車場代、水道料金などが別途記載されていて住宅の賃料と併せて支払うこととなっているケースでは、こちらも非課税取引になるのか迷うところだ。
まず、共益費だが、共益費は一般的に住宅を共同で利用する上で居住者が共通に使用すると認められる部分の費用を居住者に応分に負担させる性格のものとされる。したがって、住宅の賃料と同様の性格のものとして、非課税取引となる。次に、駐車場代だが、駐車場の使用料は、地面の整備や区画整理などがされている場合には、住宅と併せて借りていても課税取引となる。
一方で、その駐車場が何の整備もされていない空き地を駐車場用地としている場合や車の所有にかかわらず、アパートの1戸につき1台以上の駐車場がついている場合において、住宅の賃料に含まれていて駐車場利用料の記載がないときは、非課税取引として取り扱われる。また、水道料金も課税取引となるが、住宅の賃料の中に含まれていて水道料金の金額の記載がない場合には、非課税取引として取り扱われる。
つまり、駐車場代も水道料金も住宅の賃料とは別途、金額が記載されており、駐車場はアスファルト舗装と区画整理がされた駐車場の場合は、どちらも課税取引になる。なお、社宅に関して従業員の負担が、例えば、住宅の賃貸料については50%、駐車場代と水道料金は全額を従業員の負担としている場合、住宅の賃料は、賃料の支払時及び従業員からの収受時に非課税取引としての処理となる。
ただし、駐車場代と水道料金については、従業員の負担を会社が一時的に立て替えて支払っているケースでは、課税取引とせず、立替金とし不課税取引として処理することも認められている。そもそも借上げ社宅は、会社名義で契約し、会社が不動産の管理会社やオーナーに家賃を支払い、従業員から個人負担相当額を徴収しているケースが一般的だから、このような処理方法もあることに留意したい。