2019-03-19
「企業版ふるさと納税」(地方創生応援税制)の使い勝手が2019年度から改善される。地方創生を推進し、企業から地方公共団体への寄附を安定的かつ継続的に確保するため、税制措置の拡充を図る。企業版ふるさと納税は、企業が自治体に寄付すると税負担が軽減する制度。内閣府が認定した自治体の地域創生事業が対象で、寄附の全額が損金算入できるほか、寄附額の約3割が税額控除の対象となる。
しかし、寄附の対象が限られている上、個人版で一部許容されている返礼品のような“見返り”もないことなどから利用は低迷しており、2017年度における企業版の寄附額は約24億円、個人版の0.6%にとどまっている状況にある。そこで政府は、2019年度税制改正に企業版ふるさと納税の改善を盛り込み、これを受けて内閣府が具体策を検討。対象となる事業の範囲を広げるほか、自治体における積立要件の緩和などの改善策を打ち出した。
対象事業の拡大では、2019年度以降、地方創生関係交付金の対象事業に企業版ふるさと納税を活用した寄附を充当することを可能とする。積立要件の緩和は、自治体が将来の事業に備えて資金を蓄える基金への寄附をしやすくするもので、複数の事業の実施を目的とする基金の設置を可能とするほか、寄附の累計額が事業への支出の累計額を上回らないことを条件に、各年度における寄附額上限(積立額の5割)を撤廃する。
また、寄附額が事業費を上回らないことが確実に見込める場合は、事業費が確定する前に寄附を受け付けることも認める。ただ、寄附の受領を行おうとする時点において、契約の履行状況や給付金の交付決定状況を個別に確認した上で最低限の執行が確実に見込まれる額の範囲内で寄附を受領することや、事業費が確定した段階で地方公共団体から寄附企業に対して確定した事業費を記載した報告書を提出する、などの要件を満たす必要がある。
政府は、2019年度までの時限措置である同制度の延長も視野に入れて、制度の拡充・延長については、2020年度税制改正に向けて引き続き議論し、使い勝手の改善を含め運用を見直したい考えだ。内閣府では、昨年12月に全国の自治体に向けて、2019年度税制改正を踏まえた「企業版ふるさと納税」の具体的な活用策を通知しており、今後、国と自治体、企業との意見交換会などの場で周知していくという。