2019-04-22
いわゆる中小企業強靭化法案は、4月16日の衆院本会議及び翌17日の経済産業委員会で世耕経済産業大臣による法案趣旨説明が行われ、国会審議がスタートした。自然災害の頻発化や経営者の高齢化によって、多くの中小企業は、事業活動の継続が危ぶまれているが、同法案では、こうした状況を踏まえ、中小企業の事業活動の継続に資するため、中小企業の災害対応力を高めるとともに、円滑な事業承継を促進するために必要な措置を講じる。
中小企業強靭化法案(中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部改正法案)は、(1)中小企業等経営強化法、(2)承継円滑化法、(3)小規模事業者支援法の各改正法案を柱に構成。2019年度税制改正で創設された中小企業防災・減災投資促進税制や、税理士やプログラマー・エンジニア等の社外協力者も付与対象に加えるストックオプション税制の拡充は、中小企業強靭化法案の成立を前提としている。
中小企業の経営の承継の円滑化に向けて、個人事業者の土地、建物、機械・器具備品等の承継に係る贈与税・相続税を100%納税猶予する「個人版事業承継税制」の創設が2019年度税制改正において実現したことを踏まえ、新税制の効果が十分に発揮されるよう、遺留分(民法上、最低保障されている相続人の取り分)に関する民法特例の対象を個人事業者に拡大することも盛り込まれている。
現行では、会社については、相続人全員の合意を得れば簡便な手続きで、後継者に生前贈与された株式を、遺留分を算定するための財産から除外することができる。今回の改正では、この特例を個人版事業承継税制の創設に合わせ、後継者である個人事業者が贈与により取得した事業用資産(土地、建物その他の減価償却資産)についても、遺留分を算定するための財産から除外する。
そのほか、中小企業・小規模事業者の事業継続力の強化のため、(1)中小企業が行う事前対策の内容や中小企業を取り巻く関係者(サプライチェーンの親事業者、金融機関、保険会社、地方自治体、商工団体等を想定)に期待される協力を規定した基本方針の策定、(2) 中小企業の事業継続力強化に関する計画を認定し、支援措置を講ずる、(3) 商工会・商工会議所による小規模事業者の事業継続力強化の支援、が措置される。