取組み進む個人・法人向けの税務手続きのデジタル化

国税庁はこのほど、「税務行政の将来像」(2017年6月公表)に関する最近の取組状況を公表した。「将来像」は、概ね10年後のイメージを示したもので、ICTの活用による「納税者の利便性の向上」と「課税・徴収の効率化・高度化」を柱に、「スマート税務行政」に進化していくことを示している。今回は、将来像の公表から約2年の間に実現・具体化した取組みや今後の課題を改めて整理した上で、最近の取組状況の主なものを紹介している。

納税者の利便性の向上では、個人の納税者向けの税務手続きのデジタル化で、(1)スマートフォン・タブレットによる電子申告が可能に(本年1月~)、(2)ICTの活用による年末調整手続きの簡便化のため、年末調整控除申告書作成用ソフトを無料で提供(2020年10月導入予定)、(3) 確定申告に必要な控除証明書等の情報をマイナポータル経由で一括入手し、そのデータを確定申告書に自動入力できる仕組みの実現に向けた検討、などがある。

法人向けの税務手続きのデジタル化では、申告データを円滑に電子提出できる環境整備に取り組んでいる。実施済みのものでは、(1)法人の電子申告の際の認証手続の簡便化(2018年4月以後の申告から)、(2)イメージデータで送信された添付書類の紙原本の保存不要化(2018年4月以後の申請等から)、(3)法人税申告書別表(明細記載を要する部分)のデータ形式の柔軟化(2019年5月以後の申告から)などがある。

また、今後実施予定のものでは、(1)添付書類の提出方法の拡充(光ディスク等による提出)(2020年4月以後の申告から)、(2)国・地方を通じた財務諸表の提出先の一元化(同)、(3)法人税及び地方法人二税の共通入力事務の重複排除(2020年3月以後の申告から)がある。さらには、2019年度中に法人設立後の手続きを、2020年度中に設立時の手続き(定款認証・設立登記)も含めたワンストップサービスをそれぞれ開始する。

そのほか、税務署窓口のスマート化で、インターネットバンキングなどを利用した電子納税やコンビニ納付、ダイレクト納付、クレジットカード納付、QRコードを利用したコンビニ納付が導入済みだが、今後は、本年10月に全地方団体が電子納税を共同で収納する仕組みの導入予定を踏まえ、国と地方団体が協力して利用勧奨して納付のキャッシュレス化を推進し、納付手段の更なる多様化によるキャッシュレス化の推進を検討する。

「税務行政の将来像」に関する最近の取組状況は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/syouraizou/pdf/syouraizo_r0106.pdf