2019-07-25
2020年度税制改正に向けては、6月中旬頃から税制改正に対する要望や意見、建議などを発表する業界団体が出て始めている。税理士・会計士業界では、日本税理士会連合会、日本公認会計士協会がすでに公表しているが、他の業界団体からは、個人事業主を中心に組織する全国青色申告会総連合を始め、法人タクシーの事業者団体である全国ハイヤー・タクシー連合会、約2万社の建設企業が会員の全国建設業協会などが要望を発表している。
全国青色申告会総連合は、青色申告を行う個人事業主に勤労所得控除を認めることが最重点要望。個人企業や同族法人企業の社長には給与所得控除が認められており、個人事業主と社長とでは、所得税・住民税での税負担に大きな格差があり不公平が生じているとして、青色事業主勤労所得控除の早期実現を求めた。それとともに、e-Taxによる申告等を行う場合には現行10万円の青色申告特別控除を20万円に引き上げることなどを要望した。
全国ハイヤー・タクシー連合会では、保有段階で自動車税と重複課税されている「自動車重量税」は2009年度に道路特定財源から一般財源化され、すでに課税根拠を失っているので廃止すべきとしたほか、結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の対象に、業界が推進している移動への不安を解消した24時間365日、確実に出産のため病院等に移送できる「妊婦応援タクシー」に係る費用も含めることなどを求めた。
全国建設業協会では、電子契約書が不課税とされていることなどから紙による工事契約に係る印紙税の撤廃を、また、人手不足を補うために導入するIT機器等は、少額減価償却資産の損金算入限度額10万円を超えることが多いことから、30万円未満への引上げを要望。そのほか、運用・手続き等の改善として、建設現場での仮設現場事務所(特に設置期間が2年以内)については、法人住民税及び事業税の課税対象からの除外を求めている。
今後、他の業界団体も、2020年度税制改正に向けて要望をまとめて発表する。各省庁では、所管する業界の要望を踏まえて、8月末を目途に各省庁の税制改正要望を公表する予定となっている。