2019-08-01
日本仮想通貨交換業協会と日本仮想通貨ビジネス協会はこのほど、相次いで金融庁に2020年度税制改正の要望書を提出した。両協会の要望をみると、共通の要望として仮想通貨関連デリバティブ(金融派生商品)取引に関して、所得とは分離して税額を計算する申告分離課税に見直すことなどを求めている。今年5月に改正された金融商品取引法(金商法)などを背景に、来年度の税制改正での実現を目指す。
仮想通貨については、今通常国会での改正資金決済法及び改正金融商品取引法の成立により、名称が暗号資産へ変更されるとともに、暗号資産のデリバティブ取引は金融商品取引法における「有価証券デリバティブ」や「通貨デリバティブ」と実態が異ならないとの判断の下で、同法の体系に取りこまれた。そこで、課税制度についても、他の金商法上のデリバティブ取引と同等に取り扱うことを求めたわけだ。
金融商品のデリバティブ取引は税率20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税だが、現行の暗号資産の取引における課税方式は総合課税とされており、最高税率55%(所得税45%、住民税10%)にのぼる。そこで、課税の公平等の見地から金融商品デリバティブ取引同様に、暗号資産に関しても申告分離課税へ変更するとともに、他のデリバティブ取引との譲渡損失の損益通算や3年間の譲渡損失繰越控除を認めることを強く要望した。
また、少額の決済については、課税対象としない少額非課税制度を設けるよう要望。そのほか、日本仮想通貨交換業協会では、上記の法改正に伴って暗号資産のデリバティブ取引の取扱業者に対しては税務当局への支払調書の提出義務が課されることになるが、個人番号の取得等の入手に時間がかかると予想されることから、支払調書への個人番号記載については法改正後3年程度の猶予期間を設けることを求めている。
日本仮想通貨交換業協会の要望は↓
https://jvcea.or.jp/cms/wp-content/uploads/2019/07/20190722_JVCEA.pdf
日本仮想通貨ビジネス協会の要望は↓
https://cryptocurrency-association.org/cms2017/wp-content/uploads/2019/07/20190724-001.pdf