ふるさと納税、住民税控除額は1.33倍の3265億円に

ふるさと納税は、自分の生まれた故郷だけでなく応援したいどの都道府県・市区町村に対する寄附でも対象に、寄附金のうち2000円を超える部分について、一定上限まで原則、所得税・個人住民税から全額が控除される。その分、寄附者が多く住む自治体ほど減収額が大きくなるわけだが、総務省が2日に公表した「ふるさと納税に関する現況調査」では、2019年度課税における住民税控除額が前年度の約1.33倍にのぼることが明らかになった。

調査は、昨年1月から12月までの1年間に行われたふるさと納税について、2019年度課税で控除対象となる額や寄附者数をとりまとめたもの。ふるさと納税の寄附額は前年度の約3653億円から約5127億円へと約1.4倍に増え、過去最高を更新した。増加は6年連続。控除額は同約2448億円から約3265億円へと約1.33倍に、寄附者数は同約296万人から約395万人へと約1.34倍になり、いずれも大きな伸びを示している。

ふるさと納税に係る控除の適用状況を都道府県別にみると、「東京都」が断然トップ。東京都の住民の寄附者数は約84万人でそのふるさと納税額(寄附金額)約1241億円に対し控除額は約868億円にのぼる。次いで、「神奈川県」が寄附者数約42万人でふるさと納税額約473億円、控除額は約342億円、「大阪府」が寄附者数約37万人でふるさと納税額約389億円、控除額は約282億円と続いている。

このほか、「愛知県」(寄附者数約29万人、寄附額約335億円、控除額約243億円)、「埼玉県」(同約24万人、約239億円、約178億円)などが寄附者数・額で続いており、大都市部から地方部への税流出という傾向が裏付けられるものとなっている。都市部の住民が地方に寄附すると地方財政は潤うが、一方で本来徴収できたはずの住民税が減る都市財政は苦しくなり不満が高まっている。

一方、ふるさと納税の受入額の最多は「大阪府泉佐野市」で約498億円、「静岡県小山町」(約251億円)、「和歌山県高野町」(約196億円)、「佐賀県みやき町」(約168億円)と続き、これらの4市町で全体の22%の約1113億円を集めた。しかし、これらの4市町は、6月に施行された新制度の「返礼品の返礼割合3割以下」かつ「返礼品は地場産品」との基準を満たさず、不適切な手法で多額の寄附を集めたと判断されて対象から除外されている。

なお、寄附金税額控除に係る市町村民税控除額の多い市区町村は、「神奈川県横浜市」が約137億円で最多、「愛知県名古屋市」約81億円、「大阪府大阪市」約74億円、「神奈川県川崎市」約57億円、「東京都世田谷区」約53億円と続き、上位20団体には東京都23区などの都市部が目立つ。税収減の一部は国からの地方交付税で補てんされるが、交付税を受けない東京の23区や川崎市などは純粋に減収となる。

ふるさと納税に関する現況調査結果は↓
http://www.soumu.go.jp/main_content/000636996.pdf