2018年度国税の滞納残高は20年連続減少の8118億円

国税庁がこのほど公表した2018年度租税滞納状況によると、今年3月末時点での法人税や消費税など国税の滞納残高が1999年度以降20年連続で減少したことが明らかになった。新規発生滞納額は前年度に比べ0.2%減の6143億円と3年連続で減少した上、整理済額が6555億円(前年度比0.6%減)と新規発生滞納額を大きく上回ったため、今年3月末時点での滞納残高も4.8%減の8118億円と20年連続で減少した。

今年3月までの1年間(2018年度)に発生した新規滞納額は、最も新規滞納発生額の多かった1992年度(1兆8903億円)の約33%まで減少。また、2018年度の滞納発生割合(新規発生滞納額/徴収決定済額(62兆4838億円))は1.0%となり、2004年度以降、15年連続で2%を下回って、国税庁発足以来、前年度に引き続き最も低い割合となっている。この結果、滞納残高はピークの1998年度(2兆8149億円)の約29%まで減少した。

税目別にみると、消費税は、新規発生滞納額が前年度比3.1%減の3521億円と3年連続で減少したが、税目別では14年連続で最多、全体の約57%を占める。一方で、整理済額が3644億円と上回ったため、滞納残高は4.1%減の2904億円と、19年連続で減少した。法人税は、新規発生滞納額が同6.8%増の697億円と2年連続で増加し、整理済額が692億円と下回ったため、滞納残高も0.6%増の918億円と11年ぶりに増加した。

国税庁は、(1)新規滞納に関しては、全国の国税局(所)に設置している「集中電話催告センター室」での整理、(2)処理の進展が図られない滞納案件については、差押債権取立訴訟や詐害行為取消訴訟といった国が原告となって訴訟を提起して整理、(3)財産を隠ぺいして滞納処分を免れる案件については、国税徴収法の「滞納処分免脱罪」による告発で整理することで、効果的・効率的に処理している。

こうした厳正・的確な滞納整理を実施したことで、滞納残高は20年連続で減少したわけだが、消費税が新規発生滞納額全体の6割近くを占めているため、消費税の滞納は全体の滞納額に影響する。1997年と2014年の消費税率引上げ後には消費税の新規発生滞納額が増加した。本年10月には消費税率が10%に引き上げられる。国税当局にとっては、いかに消費税の新規発生滞納を抑えるかが滞納残高減少のポイントになろう。

2018年度租税滞納状況の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/pdf/0019007_115.pdf