2019-09-10
金融庁は、2020年度税制改正に向けて、(1)資産形成を支援する環境整備の観点から、 NISAの恒久化・期限延長、NISAの利用促進と利便性向上(つみたてNISA奨励金の非課税措置、NISA口座の手続書類の電子化等)、(2)簡素で中立的な投資環境の整備の観点から、金融所得課税の一体化、上場株式等の相続税評価の見直しのほか、(3)生命保険料控除制度の拡充や特別法人税の撤廃又は課税停止措置の延長等を求めた。
NISA制度については、口座数・買付額ともに順調に推移し、家計の安定的な資産形成のツールとして広く定着しつつあるが、時限措置であるため、制度の持続性の確保を求める声が多い。そこで、NISA制度について恒久措置とすること。特に、「つみたてNISAについては、開始時期にかかわらず、20年間のつみたて期間が確保されるよう、制度期限(2037年)を延長することを要望。
つみたてNISAについては、一部の企業では、従業員の資産形成をより一層支援すべく、その積立金に対して奨励金を支給している事例もあるが、この奨励金については、所得税・地方税の対象となるため、奨励策の効果が減殺されるとの指摘もある。そこで、企業が従業員に対して一定の要件を満たす規約に基づき支給する、つみたてNISA奨励金については、毎月1000円を限度として非課税とすることを3年の時限措置として要望。
また、顧客が行うNISA口座の新規開設手続きは、マイナンバーの活用で完全ペーパーレスでの対応が可能となっている。一方、NISA口座に係る金融機関変更・廃止手続きや、金融機関と税務署間の一部手続きは、書面での提出・交付が必要な書類も残っており、利用者・金融機関の双方にとって非効率。そこで、双方の利便性向上を図る観点から、NISA口座の手続書類(開設・変更・廃止等)の電子化を可能とすることを求めた。
金融所得課税の一体化では、金融商品間の損益通算の範囲は、2016年1月から上場株式等に加え特定公社債等にまで拡大されたが、デリバティブ取引・預貯金等については、未だ損益通算が認められておらず、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境の整備は道半ば。そこで、投資家が多様な金融商品に投資しやすい環境を整備する等の観点から、金融商品に係る損益通算範囲をデリバティブ取引・預貯金等にまで拡大することを要望した。
金融庁の「2020年度税制改正要望」は↓
https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/19zeikai.pdf