2019-09-19
日本経済団体連合会は17日、2020年度税制改正に関する提言を発表した。提言では、「骨太の方針2019」並びに「成長戦略実行計画」(2019年6月21日閣議決定)において、Society 5.0の実現が政策の核として明示されたことを踏まえて、Society 5.0の実現に向けた企業の生産性向上に資する税制措置の整備の観点から、(1)企業の競争力強化に資する連結納税制度の見直し、(2)税務手続きの簡素化・デジタル化などを中心に掲げている。
企業の競争力強化に資する連結納税制度の見直しでは、機動的な事業ポートフォリオの組換え等による効率的なグループ経営を可能とし、日本企業の国際競争力を強化し、経済再生を実現する観点から見直しを行うべきである。修更正による他の連結法人への影響を遮断する等の事務負担の軽減は歓迎するが、個別申告方式など新制度に移行する場合、これまで連結納税制度を採用していた企業に不利益が生じないものとすべきとした。
さらに、現行、実務負担が大きい点は地方税も含めた修更正に伴う作業だが、グループ一体経営に即した課税という連結納税の趣旨を体現するグループ調整計算を維持し、その上で修更正の他の連結法人への影響は遮断するというあり方を検討すべきである。研究開発税制や外国税額控除でグループ調整計算をなくすことはあってはならず、受取配当益金不算入(国内・海外)の持分判定も調整計算を必ず維持すべきとの考えを示した。
税務手続きの簡素化・デジタル化においては、消費税の申告期限の延長を要望。消費税の申告は法人税と密接に連動しているが、申告期限の延長が認められている法人税と異なり、事業年度終了後2月以内に申告を行わなければならず、追加的な事務負担が生じている。働き方改革に伴う時間外労働の制約のなか、生産性向上の観点から、消費税の申告期限を法人税申告の延長期限と平仄をあわせる形で延長することを求めた。
また、電子申告義務化の残された課題に取り組むとともに、共同収納の対象税目の拡充等、税務手続きのさらなるデジタル化の推進を要望。大法人の電子申告の義務化が2020年4月1日以後開始事業年度から適用されるなか、電子申告における指定方式へのデータ変換や国税・地方税における申告内容の重複、申告後の手続きの電子化のさらなる推進等、改善すべき点は多いとして、データ通信の柔軟化などの取組みを進める必要があるとした。
経団連の「2020年度税制改正に関する提言」は↓
http://www.keidanren.or.jp/policy/2019/074_honbun.html