輸入事後調査、申告漏れが3年ぶりに1500億円超え

財務省がこのほど公表した「2018事務年度(2018年7月~2019年6月までの1年間)に、全国の税関が行った輸入者の関税及び内国消費税の輸入申告に対する事後調査」結果によると、同事務年度は、4079者(対前年度比▲4.4%)の輸入者に対して事後調査を行い、うち79.2%(同0.3ポイント増)に当たる3231者(同▲4.0%)に課税価格に申告漏れがあったほか、適用税率に誤りがあったことが明らかになった。

申告漏れ等に係る課税価格は約1549億6千万円(対前年度比4.4%増)と、3年ぶりに1500億円を超えた。これに対する追徴税額は、関税が約12億2千万円(同▲34.8%)、内国消費税が約124億7千万円(同6.8%増)と、内国消費税が増加したことから、合計約143億5千万円(同1.4%増)と増加した。追徴税額のうち、加算税は約6億6千万円(同9.1%増)、うち重加算税額は約4千万円(▲39.0%)と大幅に減少した。

納付税額の不足が多かった品目は、「電気機器」が約33億7千万円で最多、「光学機器等」約21億円、「自動車等」約14億4千万円、「機械類」約11億5千万円、「有機化学品」約8億8千万円と続き、これら5品目で、納付不足税額の総額の約65%を占めた。また、主な申告漏れ等の事例では、(1)輸出者又は輸入者が作成した低価インボイスによる輸入申告、(2)インボイス記載の決済金額以外の貨物代金の申告漏れ、などがあった。

重加算税が賦課された事例では、香港の輸出者から金具を輸入していたAは、輸入申告前に正規の価格を認識していたが、正規の価格が記載されたインボイスをもとに自ら正規の価格よりも低い価格でインボイスを作成し、課税価格の計算の基礎となる事実を隠蔽・仮装して、低い価格が記載されたインボイスに基づき申告していた。その結果、申告漏れ課税価格は7605万円、追徴税額は826万円(うち重加算税202万円)が課された。

また、中国の輸出者から衣類を輸入していたBは、輸入申告前に正規価格を認識しており、輸出者から送付されたインボイス記載の価格が正規価格よりも低いことを知りながら、何ら是正せず、税を免れる意図をもって、その課税価格の計算の基礎事実を隠蔽・仮装して、低い価格が記載されたインボイスに基づき申告。その結果、その他の申告漏れも含め、申告漏れ課税価格は5175万円、追徴税額は876万円(うち重加算税94万円)が課された。

同輸入事後調査結果は↓
https://www.mof.go.jp/customs_tariff/trade/collection/ka20191106b.htm