2019-11-20
会計検査院は、住宅ローン控除の特例等3つの特例の適用ミスを見過ごしていため、455税務署で3140人、計5億5千万円余りの税の徴収不足があったことを、先日公表した2018年度決算検査報告で明らかにした。検査対象となったのは2013年分から2017年分までの申告で、住宅ローン控除の特例、居住用財産の譲渡特例、直系尊属からの住宅取得資金の贈与特例の適用が適正に行われたのかを検査した。
住宅ローン控除の特例は、居住用家屋を新築、取得、増改築した場合に、その住宅の取得等に係る住宅借入金等があり、適用要件を満たしているときに適用できる。また、譲渡の特例は、居住用の家屋やその敷地を譲渡した場合、譲渡所得から3000万円を上限に控除できる。一方で、住宅ローン控除の適用要件の一つには、居住した年とその前後の2年間の計5年間に譲渡特例等の適用を受けていないことがある。
会計検査院が調査した結果、(1)贈与特例の適用を受けていたのに、適用を受けた住宅取得資金の額を住宅の取得価額から控除せずに住宅ローン控除の特例の適用を受けていた、(2)居住日の属する年とその前後2年間の計5年間に譲渡特例の適用を受けていたのに、重複して住宅ローン控除の特例の適用を受けていた、(3)受贈者の年間所得2千万円以下との適用要件を満たさずに贈与特例の適用を受けていた適用誤りがあったことが判明した。
具体的には、上記の3特例の適用状況を検査したところ、全524税務署のうち455署において、納税者3398人から租税を徴収するに当たり、適用額の計算の誤りや適用要件を満たしていなかったりしたのに、これを見過ごしていたため、申告所得税又は贈与税等の徴収額が納税者3140人について5億5843万円不足していたり、納税者258人については2065万円過大になっていた事態が見受けられたとしている。
検査院はこれらの特例の適用誤りを昨年6月に国税庁に対して指摘。これを受けて国税庁では、特例適用者の申告内容の見直しをするとともに、納税者向けの手引きで特例の適用要件の周知や、税務署内での特例審査マニュアルの見直しなどの改善策を実施。同年12月には「住宅借入金等特別控除等の適用誤りに関するお知らせ」を同庁ホームページ上に掲載していた。
この件については↓
https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary30/pdf/fy30_tokutei_02.pdf