2018事務年度の稼働無申告法人調査で142億円追徴

国税庁では、事業を行っているにもかかわらず申告をしていない法人を放置しておくことは、納税者の公平感を著しく損なうものであることから、登記情報等から法人を把握した上、無申告法人を的確に管理するとともに、こうした稼働無申告法人に対する調査に重点的に取り組んでいる。2018事務年度には、資料情報等の分析・検討を行った結果、事業を行っていると見込まれる無申告法人2683件(前年対比3.5%増)に対し実地調査を実施した。

また、消費税についても1999件(前年対比0.5%増)を実地調査した。その結果、法人税76億円(同51.4%増)、消費税66億円(同12.7%増)、合わせて142億円(同30.5%増)を追徴課税。このうち、稼働している実態を隠し、意図的に無申告であった法人は、法人税が488件(同12.2%増)、消費税が337件(同11.6%増)あり、法人税43億円(同60.2%増)、消費税22億円(同36.7%増)の計65億円(51.6%増)を追徴課税した。

2018事務年度における稼働無申告法人に対する調査では、広島国税局が、稼働無申告であることを把握し、調査を実施した結果、多額の利益を認識していたものの意図的に無申告だった、設備工事を営む調査法人の事案が報告されている。広島局は、A法人の実地調査において、A法人の専属下請先の法人だった調査法人が無申告である事実を把握したことから、直ちに所轄税務署へ連絡し、調査に着手した。

その結果、調査法人は、多額の利益が生じており申告が必要であることを十分に認識していたにもかかわらず、作成した売上に係る書類を破棄し、申告を行わなかっただけでなく、外注先と通謀して、架空の外注費の振込みをすることによって得た資金を代表者が個人的に費消していた事実も判明した。調査法人に対しては、法人税(5年)の申告漏れ所得金額1億5700万円について重加算税を含む税額4900万円を追徴している。

なお、今年6月までの1年間に赤字と申告した法人へ調査したところ、7社に1社が実は有所得(黒字)法人だったことも無所得申告法人に対する実地調査結果で明らかになっている。不正件数8千件の約半分、調査件数全体の14.6%に当たる4千件が本当は黒字なのに赤字に仮装していたことが判明しており、国税当局では今後も無所得として申告した法人に対しても目を光らせていく方針だ。