地方拠点強化税制の適用要件を緩和、税額控除も拡充

2020年度税制改正大綱では、企業が本社機能を東京23区から地方へ移転(移転型)又は地方の企業の本社機能の強化(拡充型)をした場合の税制優遇措置である地方拠点強化税制の拡充を盛り込んだ。この税制は、特定業務施設整備計画の認定を受けた法人に適用され、(1)オフィスに係る建物等に対し特別償却又は税額控除を認めるオフィス減税と、(2)特定業務施設における雇用者の増加に対して税額控除が受けられる雇用促進税制がある。

内閣府によると、2015~2017年度の地方拠点強化税制の適用実績は、オフィス減税が55件、雇用促進税制が19件、雇用創出人数は1万4839人にとどまる。そこで、企業に対して地方拠点強化税制の積極的な活用を促すため、雇用の増加に対するインセンティブ強化として、雇用促進税制(移転型)の税額控除を拡充する。早期に、企業の地方拠点強化の件数を7500件増加し、地方拠点における雇用者数を4万人増加させる考えだ。

雇用促進税制(移転型)の具体的な見直しは、現行では初年度の税額控除額1人当たり60万円又は90万円(企業全体の雇用増加率5%以上)を、雇用増加率にかかわらず、一律、増加雇用者1人当たり最大90万円にする。3年間の適用期間の税額控除額計1人当たり150万円は170万円に引き上げ、うちオフィス減税との併用分1人当たり90万円は120万円に引き上げる。

雇用促進税制(移転型・拡充型とも)の適用要件も緩和する。現行では企業全体の給与額が前年度より一定以上増加しなければ適用されないとの要件を廃止する。また、適用対象となる特定業務施設整備の範囲のうち、「既存施設の用途変更」に該当するかどうかの判断基準が不明確だったことから、オフィス環境の整備(事務機器の増設等)を行う場合でも、雇用促進税制の適用が可能であることを明確化する。