2022年4月から連結納税制度はグループ通算制度へ移行

2020年度税制改正において、連結納税制度については、2002年度創設以来18年ぶりに抜本的に見直され、グループ通算制度へ移行する。具体的には、2022年4月1日以後開始事業年度から、企業グループ全体を一つの課税単位とする現行制度に代えて、企業グループ内の各法人を納税単位として、各法人が個別に法人税額の計算及び申告を行いつつ、損益通算等の調整を行う簡素な仕組みとすることなどにより、事務負担の軽減を図る。

連結納税制度は、企業の組織再編成を促進し、日本企業の国際競争力の維持強化と経済の構造改革に資することになるとの観点から導入され、企業グループ全体を一つの納税単位として課税する。導入から18年にわたり有効に活用されてきたが、一方で、税額計算の煩雑さや税務調査後の修正・更正等に時間がかかりすぎるといった指摘もあり、損益通算のメリットがあるにもかかわらず、同制度を選択していないグループも多く存在する。

今回の改正では、連結納税制度を抜本的に見直し、グループ通算制度に移行し、それに伴い単体納税を行う法人に係る法人税についても、グループ通算制度の取扱いに合わせた見直しが行われる。単体納税制度の見直しでは、受取配当等の益金不算入制度について、関連法人株式等に係る負債利子控除額を、関連法人株式等に係る配当等の額の4%相当額(その事業年度において支払う負債利子の額の10%相当額が上限)とする。

関連法人株式等又は非支配目的株式等に該当するかどうかの判定については、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人全体の保有株式数等により行う。また、寄附金の損金不算入制度について、損金算入限度額の計算の基礎となる資本金等の額を、資本金の額及び資本準備金の額の合計額とする。貸倒引当金について、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人間の金銭債権を貸倒引当金の対象となる金銭債権から除外する。

グループ通算制度の基本的な仕組みは、適用法人及び適用方法は親法人及び各子法人が法人税の申告を行う点と青色申告の承認を前提とする点を除き、基本的に連結納税制度と同様とする。また、親法人の電子署名により、子法人の申告及び申請、届出等を行うことができることとする。同制度の適用法人は、e-Taxにより法人税及び地方法人税の確定申告書、中間申告書及び修正申告書を提出しなければならない。