2020-03-19
国税庁は、新型コロナウイルス感染症の影響により、国税を一時に納付することができない場合、税務署に申請すれば、法令の要件を満たすことで、原則として1年以内の期間に限り、納税を猶予するとして、所轄の税務署へ相談するよう呼び掛けている。また、新型コロナウイルス感染症に感染した場合など、個別の事情がある場合にも、納税の猶予が認められる場合もあることを明らかにしている。
上記の要件とは、(1)国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれがあると認められること、(2)納税について誠実な意思を有すると認められること、(3)換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと、(4)納付すべき 国税の納期限から6ヵ月以内に申請書が提出されていること、(5)原則として、担保の提供があること(担保が不要な場合がある)、の全てに該当することとしている。
2019年分の申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の確定申告は、延長された2020年4月16日が納期限となる。既に滞納がある場合や滞納となってから6月を超える場合であっても、税務署長の職権による換価の猶予が受けられる場合もある。猶予が認められると、原則、1年間猶予が認められ、状況に応じて更に1年間猶予される場合がある。猶予期間中の延滞税の一部が免除され、財産の差押えや換価(売却)が猶予される。
また、新型コロナウイルス感染症に納税者や家族が感染して医療費や治療費等がかかる場合を始め、事業所で社員が感染し、消毒作業で備品や棚卸資産を廃棄した場合や、感染の影響で事業をやむを得ず休廃業した場合、感染拡大で利益が減少等し、著しい損失を受けて国税を一時に納付できない場合など、新型コロナウイルス感染症に関連するようなケースに該当する場合は、納税の猶予が認められる。
猶予が認められると、やはり原則、1年間猶予が認められ、猶予期間中の延滞税の一部が免除される。国税庁では、納税が困難な場合は、気軽に所轄の税務署(徴収担当)に相談するよう呼び掛けている。納期限の前からでも相談でき、申請に当たって必要な書類があるので、事前に所轄の税務署(徴収担当)に電話して、必要な書類を確認すると申請の手続きがスムーズに行えると注意を喚起している。