2020-04-09
財務省は7日、同日閣議決定された新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置(案)を公表した。新型コロナウイルス感染症のわが国社会経済に与える影響が甚大なものであることに鑑み、感染症及びその蔓延防止のための措置の影響により厳しい状況に置かれている納税者に対し、緊急に必要な税制上の措置を講ずることとしている。同措置の特例の実施については、関係法案が国会で成立すること等が前提となる。
特例は、イベントの自粛要請や入国制限措置など、新型コロナ感染拡大防止のための措置に起因して多くの事業者の収入が急減しているという状況を踏まえ、収入に相当の減少があった事業者の国税・地方税及び社会保険料について、無担保かつ延滞税なしで1年間、納付を猶予する特例を設ける。また、資本金1億円超10億円以下の企業に生じた欠損金について、欠損金の繰戻しによる法人税等の還付制度の適用を可能とする。
国税における措置は、(1)納税の猶予制度の特例、(2)欠損金の繰戻しによる還付の特例、(3)テレワーク等のための中小企業の設備投資税制、(4)文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対する払戻請求権を放棄した観客等への寄附金控除の適用、(5)住宅ローン控除の適用要件の弾力化、(6)消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例、(7)特別貸付けに係る契約書の印紙税の非課税がある。
1年間、納付を猶予する特例は、基本的に全ての税目が対象(印紙で納付する印紙税等は除く)となり、本年2月1日から2021年1月31日までに納期限が到来する国税について適用する。その際、施行日前に納期限が到来している国税についても遡及適用できる。本年2月から納期限までの一定の期間(1ヵ月以上)において、収入が大幅に減少(前年同期比概ね20%以上の減)した場合について1年間納税を猶予する。
現在、中小企業のみに認められている青色欠損金の繰戻しによる還付の特例は、資本金1億円超10億円以下のいわゆる中堅企業についても、2020年2月1日から2022年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金に適用できる。また、中小企業者等が、特定経営力向上設備等の取得等をした場合には、即時償却又は7%(資本金が3000万円以下の法人は10%)の税額控除ができることとする。適用期限は2021年3月31日。
そのほか、政府の自粛要請を踏まえて一定の文化芸術・スポーツイベントを中止等した主催者に対し、観客等が入場料等の払戻しを請求しなかった場合には、放棄した金額を寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象とする。また、住宅ローン控除の適用要件では、新築等した住宅に2020年12月末までに入居できなかった場合でも、一定要件を満たす場合には、控除期間が13年に延長された住宅ローン控除を適用できることとする。
この件については↓
https://www.mof.go.jp/tax_policy/keizaitaisaku_shiryou.pdf