2015年度相互協議事案は195件発生、77%が事前確認

国税庁が公表した2015事務年度の相互協議の状況によると、今年6月までの1年間に相互協議事案は195件(前事務年度187件)発生し、うち事前確認に係るものが151件(同149件)と全体の約77%を占めた。相互協議事案及び事前確認の発生件数は増加し、過去最多だった2013事務年度に次ぐ高い水準で推移。10年前の2005事務年度と比べ、相互協議件数は1.5倍に、事前確認に係る相互協議件数は1.6倍に増加している。

移転価格税制は、法人と関連企業(国外関連者)との取引が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なる場合、その取引価格を正常な価格に引きなおして課税する制度だが、相互協議は、移転価格課税における二重課税を防ぐため、国税庁が外国の税務当局と交渉するもの。また、事前確認とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合には、移転価格課税は行わないという制度だ。

2015事務年度に相互協議が終了した処理件数は、前年度より14件多い155件、このうち事前確認に係る相互協議の処理件数は同5件多い126件でともに増加に転じた。この結果、2015事務年度末の相互協議事案の繰越件数は、処理件数は増加したが、発生件数が処理件数を上回ったため、同40件増の465件と3年連続で増加。このうち事前確認は同25件増の355件、移転価格課税は同13件増の97件だった。

2015事務年度の処理事案1件当たりに要した平均的な期間は、26.0ヵ月(前事務年度22.4ヵ月)と3.6ヵ月長期化。そのうち、事前確認に係る相互協議事案は、同様に25.7ヵ月(同22.2ヵ月)と3.5ヵ月長期化した。また、処理件数155件を業種別にみると、その他の製造業(41件)など「製造業」が全体の63.9%を占める99件、貿易業(19件)を含む「卸売・小売業」が同25.8%の40件、「その他」が同10.3%の16件だった。

対象取引別の内訳をみると、「棚卸取引」が116件、「役務提供取引」が84件、「無形資産取引」が61件。なお、OECD非加盟国との協議事案の割合は増加傾向にあり、2015事務年度の発生件数のうち約29%(56件)、処理件数のうち約15%(23件)、繰越件数のうち約35%(165件)をOECD非加盟国が占めている。また、相互協議の相手国・地域の数は、2010年の23ヵ国から2018年も22ヵ国と、ほぼ横ばいで推移している。

2015事務年度の「相互協議の状況」の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2016/sogo_kyogi/index.htm