2020-07-07
ふるさと納税を巡って、大阪府の泉佐野市が対象自治体から外されたのは違法だとして処分の取消しを求めた上告審で、最高裁第三小法廷(宮崎裕子裁判長)は6月30日、市側の敗訴とした大阪高裁の判決を破棄し、総務相の除外処分を取り消す逆転判決を言い渡した。これに伴い、総務省は3日、これまで対象から除外していた泉佐野市を始め和歌山県高野町、佐賀県みやき町の3市町を対象として指定したことを明らかにした。
返礼品が問題となっていたふるさと納税制度については、2019年度税制改正において、「返礼品の返礼割合3割以下」かつ「返礼品は地場産品」との基準を満たした地方自治体を特例の対象として総務大臣が指定することになり、2019年6月以降、大阪府泉佐野市など4団体が指定外とされた。そこで泉佐野市は、仲裁機関の国地方係争処理委員会に審査の申出をしたが、国が従わなかったため、市は地方自治法に基づき大阪高裁に提訴した。
一審の大阪高裁は、「泉佐野市は新指定制度の基準を満たさず指定の要件を欠くから、不指定は適法」として市の請求を棄却した。これに対し、同市は、「改正規定の施行前における募集実績自体を理由に、指定対象期間において寄附金の募集を適正に行う見込みがあるか否かにかかわらず、指定を受けられないこととするのは国の職権の乱用だ」とし主張して、最高裁に上告した。
最高裁は、「国会において、募集適正基準が改正規定の施行前における募集実績自体をもって指定を受ける適格性を欠くものとする趣旨を含むことが明確にされた上で審議され、その前提において可決されたものということはできない」とした上で、「改正規定の施行前の行為が制度の趣旨に反するか否かを、改正規定の施行後の行為に適用されるべき規範によって評価することはできない」として、除外処分は無効と判示した。
ただし、補足意見として、泉佐野市の勝訴となる結論に“居心地の悪さ”を指摘。その原因は、「同市が、殊更に返礼品を強調する態様の寄附金の募集を、総務大臣からの再三の技術的な助言に他の地方団体がおおむね従っている中で推し進めた結果、集中的に多額の寄附金を受領していたことにある」とした。さらに、「たとえ結論に居心地の悪さがあったとしても、法的には法廷意見のとおりと考えざるを得ない」と補足している。