2020年分路線価は1.6%増と5年連続で上昇~国税庁

全国の国税局・税務署において1日、相続税や贈与税の土地等の課税評価額の基準となる2020年分の路線価及び評価倍率が公表された。今年1月1日時点の全国約32万地点(継続地点)における標準宅地の前年比の変動率の平均は+1.6%(昨年+1.3%)と、5年連続の上昇となった。路線価日本一は、35年連続1位となる東京・銀座「鳩居堂前」で、1平方メートル4592万円(昨年4560万円)と、4年連続で過去最高を更新した。

都道府県別の路線価をみると、標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値の上昇率が「5%未満」の都道府県は、昨年分の1都2府15県から2府17県の計19府県に増加。上昇率が「5%以上」の都道府県は、昨年に続き沖縄県(+10.5%)に東京都(+5.0%)が加わり2都県となった。下落した都道府県は昨年の27県から26県に減少。ちなみに、下落率は最大でも秋田・福井・和歌山の3県の▲1.1%だった。

一方、都道府県庁所在都市の最高路線価が上昇した都市は38都市(昨年33都市)、横ばいは8都市(同13都市)で、下落は水戸市(▲2.2%)の1都市(同1都市)。20%以上の増加となったのは、那覇市(40.8%)、大阪市(35.0%)、横浜市(34.5%)、奈良市(21.2%)の4都市。上昇要因には、再開発や不動産向け投資が拡大したことや、地方にも普及しつつある訪日外国人の増加を見込んだ店舗・ホテル需要の高まりなどがあるとみられている。

都道府県庁所在都市の最高路線価では、1位は東京・中央区銀座5丁目の「銀座中央通り」で、1平方メートル当たりの路線価は前年から0.7%上昇の4592万円。はがき1枚分の土地が約68万円となる計算。以下、大阪・北区角田町の「御堂筋」2160万円(増減率+35.0%)、横浜市西区南幸1丁目の「横浜駅西口バスターミナル前通り」1560万円(同+34.5%)、名古屋市中村区名駅1丁目「名駅通り」1248万円(同+13.0%)と続く。

以上のように、2020年分の路線価は微増ながら5年連続で上昇したが、路線価は1月1日時点の評価で、その後の新型コロナウイルス感染拡大による影響は反映されていない。新型コロナの影響によりインバウンドが激減したことから、観光地を中心に地価が下落することも十分予想される。国税庁は、今後の地価の推移によっては路線価等に対する補正率を定めるなど減額修正を可能にする措置を導入する方針という。

路線価へのアクセスは↓
http://www.rosenka.nta.go.jp/