2020-07-10
一括償却資産とは、取得価額が10万円以上20万円未満の資産について、個別に減価償却をせずに、使用した年から3年間にわたって、その年に一括償却資産に計上した資産の取得価額の合計額の3分の1を必要経費に計上していくものだ。一括償却資産を取得したときは複数の会計処理が考えられる。それは、通常の減価償却を行うか、一括償却資産とするか、(中小企業者等であれば)少額減価償却資産の特例を適用するかだ。
少額減価償却資産とは、取得価額が30万円未満の資産について、一定の要件をもとに、使用した年に全額必要経費に計上することができるというもので、中小企業者等にのみ認められた特例だ。どの会計処理を採用するかによって、その期に必要経費に計上できる金額が変わってくるため、それは税額にも影響してくる。複数の会計処理の中から、自社にとって一番有利な会計処理を選択する必要があろう。
その際に、忘れてはならないのが償却資産税だ。償却資産とは、土地・家屋以外の事業用資産で、その減価償却額又は減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上、損金又は必要な経費に算入されるものをいう。減価償却資産を一定額以上保有していると償却資産税という税金がかかる。毎年1月1日現在所有している減価償却資産を1月31日までに、減価償却資産の所在する地方自治体に申告しなければならない。
ところが、一括償却資産として計上した場合には、償却資産税の対象とならないという大きなメリットがある。通常、取得価額が10万円以上の減価償却資産については、償却資産税の申告に対象資産として含める必要があるが、一括償却資産として処理した場合は償却資産税の申告の対象資産に含めなくてよいこととされている。そのため、一括償却資産として処理すると、償却資産税の負担が少なくなるというメリットがある。
なお、少額資産であっても、租税特別措置法の規定により、中小企業特例を適用して損金算入した資産(法人税・所得税法上は損金算入できるが、固定資産税(償却資産)においては適用されない)や、通常の減価償却資産として個別に減価償却することを選択した資産、少額減価償却資産として取得時に全額を経費計上した資産などは、償却資産税の申告に含めなくてはならないので注意が必要だ。