2020-07-17
2019年度税制改正では、民法等の改正に伴い、残された配偶者が亡くなるまで今の住居に住み続けられる「配偶者居住権」(2020年4月1日施行)が創設された。これを受けて、国税庁はこのほど、「相続税法基本通達等の一部改正について」(法令解釈通達)をとりまとめ公表した。この中で、「配偶者居住権等」の項目が新設され、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例に関する留意点などが示されている。
それによると、特例対象宅地等には、配偶者居住権は含まれないが、個人が相続又は遺贈(死因贈与を含む)により取得した、配偶者居住権に基づく敷地利用権(配偶者居住権の目的となっている建物等の敷地の用に供される宅地等を、その配偶者居住権に基づき使用する権利をいう)及び配偶者居住権の目的となっている建物等の敷地の用に供される宅地等が含まれることに留意することとしている。
また、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例の適用を受けるものとして、その全部又は一部の選択をしようとする特例対象宅地等が配偶者居住権に基づく敷地利用権又はその敷地の用に供される宅地等の全部又は一部である場合のその特例対象宅地等の面積は、それぞれ下記の算式により計算された面積であるものとみなして、小規模宅地等の特例が適用されることに留意するとしている。
配偶者居住権に基づく敷地利用権の面積の算式は、「特例対象宅地等の面積×当該敷地利用権の価額/当該敷地利用権の価額及び当該敷地の用に供される宅地等の価額の合計額」となる。また、当該敷地の用に供される宅地等の面積の算式は、「特例対象宅地等の面積×当該敷地の用に供される宅地等の価額/当該敷地利用権の価額及び当該敷地の用に供される宅地等の価額の合計額」となる。
したがって、330平方メートルの限度面積要件についても、上記の算式に基づき計算された面積により判定を行うことに留意する。この場合において、配偶者居住権の設定に係る相続又は遺贈により、その相続に係る被相続人の配偶者が配偶者居住権及びその敷地の用に供される宅地等のいずれも取得したときの敷地の用に供される宅地等については、小規模宅地等の特例に係る政令の規定の適用はないことに留意するとしている。