7月豪雨による被災者に税務上の手続きを呼びかけ

九州を中心に被害をもたらした令和2年7月豪雨による災害復旧が急がれている。国税庁では、災害により被害を受けた場合には、申告・納税等に係る手続き等があるので、状況が落ち着いたら最寄りの税務署へ相談するよう呼びかけている。まず、災害により申告・納税等をその期限までにできないとき(交通途絶等)は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることで、その理由のやんだ日から2ヵ月以内の範囲でその期限が延長される。

例えば、毎月10日(納期の特例の適用を受けている事業者は7月10日、翌年1月20日)が納付期限の源泉所得税及び復興特別所得税の納付について、災害により被害を受けたために期限までの納付ができない場合には、期限の延長(災害による申告、納付等の期限延長申請)を受ける手続きある。この手続きは、期限が経過した後でも行うことができるので、被災の状況が落ち着いてから、最寄りの税務署に相談すればいい。

次に、災害により、財産に相当な損失を受けた場合は、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることで、納税の猶予を受けることができる。また、災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で 所得税法に定める雑損控除の方法、 災害減免法に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税の全部又は一部を軽減することができる。

そのほか、災害により被害を受けた事業者が、その被害を受けたことにより、災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、又は適用を受けることの必要がなくなった場合には、所轄税務署長に申請しその承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けること、又は適用をやめることができる。

これは、例えば、災害によって事務処理能力が低下したため、一般課税から簡易課税への変更が必要になった場合や、棚卸資産その他業務用の資産に相当な損害を受け、緊急な設備投資を行うため、簡易課税から一般課税への変更が必要になった場合などに適用されるわけだ。