個人が企業発行ポイントを取得・使用した際の取扱い

9月1日にマイナポイント事業がスタートしたが、一般の小売店でも、買い物客が商品を購入する際に、同店が発行するポイントを付与し、次回以降の買い物の際に、例えば、1ポイント1円に換算して、決済代金の値引きや景品との交換などに使用できるところも多い。そこで、個人が、そのポイントを商品購入の際に使用した場合、その取得又は使用したポイントについて、所得税の確定申告は必要になるのだろうか。

結論からいうと、原則として、確定申告をする必要はない。国税庁によると、「一般的に企業が発行するポイントのうち決済代金に応じて付与されるポイントについては、そのポイントを使用した消費者にとっては通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものと考えられるので、こうしたポイントの取得又は使用については、課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱う」こととしており、非課税となる。

通常の商取引における値引きは、原則課税対象となる経済的利益には該当しないものとして取り扱っている。ただし、ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントは、通常の商取引での値引きと同様の行為が行われたものとは考えられないので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入する必要がある。

なお、ポイントを使用して医薬品購入の決済代金の値引きを受けた場合など、所得控除の対象となる支出にポイントを使用したことが明らかな場合には、(1)ポイント使用後の支払金額を基に所得控除額を計算する方法、(2)ポイント使用前の支払金額を基に所得控除額を計算するとともに、ポイント使用相当額を一時所得の総収入金額として算入する方法、のいずれかの方法により、所得金額及び所得控除額を計算しなければならない。

また、個人事業者が備品等を購入する際に企業発行ポイントを使用した場合の経理処理については、(1)値引処理(ポイント使用後の支払金額を経費算入する処理)、(2)両建処理(ポイント使用前の支払金額を経費算入するとともに、ポイント使用額を雑収入に計上する処理)、のいずれかの方法が考えられる。例えば、(1)は「消耗品費1069円/現金1069円」、(2)は「消耗品費1090円/現金1069円・雑収入21円」の仕訳となる。