自民・公明両党が2017年度の与党税制大綱を決定

自民・公明両党は8日、2017年度の与党税制大綱を決定した。主な内容としては、(1)所得税の配偶者控除の配偶者上限の引上げ、(2)所得拡大促進税制を見直し、高い賃上げを行う企業への支援の強化、(3)研究開発税制を見直し、控除割合を原則開発費の増加割合に応じる仕組みとする、などがある。政府は、月内に税制改正大綱を閣議決定して1月召集予定の通常国会に税制改正法案を提出し、今年度中の成立を目指す。

大綱の目玉である配偶者控除の見直しは、配偶者控除を満額受けられる配偶者の年収上限を現行の103万円から150万円に引き上げ、150万円を超えても201万円以下までは段階的に縮小しつつも控除が受けられる仕組みとする。ただし、世帯主(夫)の年収には制限を設け、1220万円を超えると控除が受けられない。財務省の試算では、約300万世帯が減税となる一方、約100万世帯が増税になる見通しという。

所得拡大促進税制は、一定の要件(給与総額を2012年度比で3%以上増加させ、給与総額と平均給与額が前期を上回る)を全て満たした場合に給与総額の増加分の10%を法人税額から控除できる制度だが、今回の改正で、新たに「前年度比2%以上の賃上げ」という要件を設定し、その際の控除率は現行より引き上げ、企業規模で控除率に差を設ける(中小企業は増加分の22%、大企業で12%)。

研究開発促進税制は、対象にIoT、ビックデータ、人工知能等を活用した「第4次産業革命型」のサービス開発のための試験研究に係る一定の費用を新たに追加する。さらに、研究開発費の総額に対する減税(総額型)と開発費が過去3年の平均より増加した場合の減税(増加型)の2種類を増加型に一本化した上で、控除割合を6~14%(中小企業は12~17%)に見直す。

そのほか、(1)最長20年、年間投資上限40万円の積立型NISA(少額投資非課税制度)の創設、(2)タワーマンション節税の抑制、(3)ビール系飲料の税額は2020年10月から2026年10月にかけて3段階で統一、(4)エコカー減税は、燃費基準を段階的に引き上げ、減税対象を絞り込んだうえで延長、(5)タックスヘイブン対策税制は、20%未満の税率基準や出資比率50%超の基準を撤廃、などが盛り込まれている。

話題となっていた「タワーマンション節税」は、高層マンションの固定資産税・不動産取得税を見直す。2017年度以降に販売される高さ60メートルを超え、おおむね20階建て以上の新築高層マンションを対象に、高層階ほど増税、低層階ほど減税となるように見直す。現行制度では、一棟の評価額を階数に関係なく床面積で按分しており、床面積が同じであれば階層にかかわらず、固定資産税額は同じだった。

2017年度与党税制改正大綱は↓
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/133810_1.pdf