2020-09-14
日本経済団体連合会(経団連)は9月9日、研究開発税制の延長・拡充や税務手続きのデジタル化・簡素化を重点とする2021年度税制改正に関する提言を公表した。研究開発税制では、法人税額から研究開発費の一定割合を控除できる総額型について、控除上限を法人税額の25%から30%へ引き上げることを要求。併せて、控除上限を超過した金額が翌年度以降も控除可能となるように、繰越制度を復活することも検討すべきとした。
また、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を一層推進する上で、クラウドサービス等の自社利用ソフトウェアに係る試験研究費も研究開発税制の対象にすることを求めた。現状では自社利用ソフトウェアに係る試験研究費が資産計上され、税額控除対象試験研究費に不算入となっていることから、改正により、発生時損金処理と研究開発税制の税額控除対象試験研究費への算入を認めるべきとした。
税務手続きのデジタル化・簡素化では、税務書類について、法人の代表者等が押印しなければならないとされている国税通則法の規定をゼロ・ベースで見直し、法令に根拠のない押印欄については廃止を要求。その上で、書面に限られている手続きについてはデジタル化を、デジタル化がされていても企業実態に照らし不十分な場合にはその徹底を進めるべきとの考えを示した。
例えば、押印が必要とされている手続きには、財形貯蓄の届出書や給与支払報告書(特別徴収)に係る給与所得者異動届出書(法令根拠なし)などが、書面が必要とされている手続きには、居住者証明書交付請求書、財形貯蓄の届出書、個人住民税の特別徴収税額通知(納税義務者用)などがある。一方、デジタル化の徹底の観点から、地方税共通納税システムの対象税目に早期に固定資産税等を追加すべきとした。
このほか、欠損金の繰越控除制度について、2019年度及び2020年度に発生する欠損金が過年度の平均水準を大幅に超過して発生することが見込まれるなか、両年度発生の欠損金を念頭に、業績動向を引き続き検証しつつ、少なくとも向こう数年間、控除上限を撤廃又は大幅な緩和を要求。併せて、企業業績の本格的な回復までに時間を要するケースに配慮する観点から、控除期間を10年超とすること等も盛り込んだ。
経団連の「2021年度税制改正に関する提言」は↓
http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/076_honbun.pdf