2020-09-18
飲食店などでは、アルバイトを雇うことも少なくない。アルバイトに対して給与の支払いをする場合には、給料から所得税を源泉徴収する必要がある。これは正社員かパート・アルバイトかにかかわらず同様だが、源泉徴収する所得税の金額の計算にあたっては、パートやアルバイトに特有の注意すべきポイントがある。それは、そのアルバイト等がほかでも仕事をして給料を受けていて、そこでの仕事が副業かどうかの確認だ。
副業で働いている場合、副業でない場合に比べて源泉徴収する所得税の金額が多くなる。副業なのに、副業でない前提で計算をしてしまうと、所得税の源泉徴収額が過少になってしまう。そのため、パート・アルバイトを雇う際には、必ず副業かどうかを確認する必要がある。副業でない場合には、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を、最初に給料を支払う日の前日までに提出してもらわなければならない。
雇用者側は、同申告書の提出をもって副業か副業でないかを判断して、源泉徴収する所得税の計算を行う。源泉徴収する所得税の金額は、国税庁が公表している「給与所得の源泉徴収税額表(月額表)」で確認する。月額表を見てみると、甲蘭と乙蘭に分かれているが、給与を支払うパートやアルバイトが副業ではない場合(本業の場合)は、甲欄を、副業の場合は、乙欄を参照にそれぞれ源泉徴収する金額を計算する。
乙欄(副業)は甲欄(本業)に比べて、源泉徴収する所得税の金額が数倍多く設定されている。甲欄(本業)では8万8000円未満は所得税の源泉徴収が不要なのに対して、乙欄(副業)では必ず所得税の源泉徴収が必要になる。パートやアルバイトの中には月給8万8000円未満に収まる人も多いと思うので、甲欄(本業)であれば源泉徴収が不要だが、乙欄(副業)であれば、月給がいくらでも必ず源泉徴収する所得税を計算しなければならない。
なお、源泉徴収票は、基本的には毎年12月に最後の給料を支払うときに、給与明細と一緒に渡すことになる。パート・アルバイトであっても必ず渡す必要がある。パート・アルバイトは年の途中で辞める人も多いが、この場合は、辞めるときに最後の給与明細と一緒に渡せばいい。源泉徴収票は、次の職場に提出したり、確定申告書に添付したりするための重要な書類だ。本業、副業にかかわらず、必ず渡す必要があるので留意したい。