経産省、新型コロナ禍対応等の観点から税制改正要望

経済産業省が公表した2021年度税制改正に関する要望には、新型コロナ禍から立ち上がる中小企業の成長支援・地域経済の活性化の観点から、(1)中小企業の経営資源の集約化等の促進、(2)中小企業の積極的な設備投資、経営基盤強化、研究開発、所得拡大を支援、(3)地域未来投資促進税制の延長・拡充、(4)中小企業防災・減災投資促進税制の延長・拡充、(5) 土地に係る固定資産税の評価額見直しに伴う負担調整措置等の延長、などを盛り込んだ。

(1)は、ウィズコロナ/ポストコロナ社会に向けて、地域経済・雇用を担おうとする中小企業の経営資源の集約化等支援のため、必要な措置を創設する。(2)は、新型コロナ禍でも、中小企業の生産性向上やDXに資する設備投資を後押しすべく、中小企業経営強化税制(即時償却又は税額控除10%)を延長。併せて、中小企業投資促進税制、及び商業・サービス業・農林水産業活性化税制(いずれも特別償却30%又は税額控除7%)を延長する。

さらに、中小企業軽減税率(法人税を所得800万円まで、19%から15%に軽減)の適用期限を、新型コロナ感染症の拡大懸念等による先行き不安があるなか、経営基盤の維持や資金繰り負担緩和のため、2年間延長を要望。また、中小企業の研究開発を支援すべく、中小企業技術基盤強化税制を拡充する。経済の回復・好循環のカギとなる雇用者の所得拡大を後押しすべく、中小企業向け所得拡大促進税制について、制度を見直した上で延長する。

(3)は、地域経済を牽引する企業の成長を促進するとともに、サプライチェーン強靱化の観点も踏まえ、設備投資に対する措置を延長・拡充し、地域の成長発展の基盤を強化する。(4)は、災害に事前に備えるための設備投資支援の強化のため、激化する災害等及び感染症への事前対策を強化するため、防災・減災のための設備投資に対する特別償却の対象に、重要設備のかさ上げに用いる架台や、停電時の電力供給装置等を拡充する。

(5)は、土地(商業地等)の固定資産税の評価額見直しに関し、現行の負担調整措置等の延長(2021年4月1日~2024年3月31日)を要望。商業地等においては、納税者の税負担を考慮し、地価の上昇が大きい場合にも、税負担が急上昇しないよう、固定資産税の課税標準の上昇幅を一定範囲(評価額の5%)に抑える特例措置がある。この延長とともに、新型コロナ禍の影響を踏まえ、経済状況に応じた所要の措置を講ずることを求めている。

同税制改正要望の概要は↓
https://www.meti.go.jp/main/zeisei/zeisei_fy2021/zeisei_r/pdf/1_02.pdf