先行取得土地等の特例、迫る譲渡期限に注意!!

先行取得土地等の特例とは、個人や法人が2009年1月1日から2010年12月31日までの期間内に土地等を先行取得し、その取得の日を含む事業年度終了の日後10年以内に、所有する他の土地等の譲渡をしたときは、その先行取得土地等について圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額するなどの一定の方法で経理したときは、その減額した金額を損金の額に算入する圧縮記帳の適用を受けることができるというもの。

圧縮限度額は、「譲渡する先行取得土地等以外の土地等に係る譲渡利益金額 × 80/100(2010年中のみの場合には60/100)」で計算した金額。譲渡利益金額とは、先行取得土地等以外の土地等の譲渡に係る対価の額からその土地等の譲渡直前の帳簿価額に譲渡経費の額を加算した金額を控除した金額。そこで、2010年中に土地等を先行取得した場合の圧縮限度額は、他の土地等の譲渡利益金額に係る「60%」を適用できる。

この他の土地等の譲渡利益金額に係る「60%」の圧縮割合を適用できるのは、2010年中の取得日を含む事業年度終了後10年以内に、その法人等が有する他の土地等を譲渡したときという要件がある。つまり、12月決算法人や個人事業者の場合は、譲渡期限が2020年12月末となり、譲渡期限が迫っている。3月決算法人の場合は、2021年3月31日までに他の土地等の譲渡期限を迎えることになる。

この圧縮記帳の適用を受けるためには、(1)損金経理により先行取得土地等の帳簿価額を減額する、(2)確定した決算において積立金として積み立てる、(3)決算の確定日までに剰余金の処分により積立金として積み立てる、のいずれかの経理方法を採用する必要がある。いずれの方法でも、他の土地等を譲渡する日を含む事業年度の確定申告書等に「先行取得土地等の圧縮額の損金算入に関する明細書(別表13(8))」を添付しなければならない。

なお、同特例を適用しない場合には、長期所有土地等の1000万円特別控除の特例への切換えができる。この特例は、個人や法人が2009年1月1日から2010年12月31日までの間に取得した国内にある土地等で、その取得した日から所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、その土地等の譲渡益から1000万円を特別控除できるというもの。この特例は、譲渡時期の期限が設けられていない。