2021-01-22
新型コロナウイルス感染症の第3波により緊急事態宣言が再発出されるなか、政府はテレワークやリモートワークでの在宅勤務割合を上げることを企業に要請しているが、国税庁はこのほど、HP上に「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を公表し、在宅勤務に係る税務上の取扱いを明らかにした。FAQは、在宅勤務手当や在宅勤務に係る事務用品等の支給、電気料金に係る業務使用部分の計算方法など全7問を掲載している。
FAQによると、在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はない。ただし、企業が従業員に在宅勤務手当(従業員が在宅勤務に通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないもの)を支給した場合は、従業員に対する給与として課税する必要があるとしている。
また、企業が所有する事務用品等を従業員に「貸与」する場合には、給与課税する必要はないが、事務用品等を「支給」した場合には、従業員に対する現物給与として課税する必要がある。上記の「貸与」については、例えば、従業員に専ら業務に使用する目的で事務用品等を「支給」という形で配付し、その事務用品等を従業員が自由に処分できず、業務に使用しなくなったときは返却を要する場合も、「貸与」とみて差し支えないとした。
自宅で通常の業務を行うとすれば通信費や光熱費などが発生するが、従業員が負担した電気料金については、在宅勤務に要した部分を支給する場合、基本料金や電気使用料については、業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があるとした上で、算式を例示し、これにより算出したものを従業員に支給した場合には、従業員に対する給与として課税しなくて差し支えないとしている。
例示した算式は、「業務のために使用した基本料金や電気使用料=従業員が負担した1ヵ月の基本料金や電気使用料×(業務のために使用した部屋の床面積/自宅の床面積)×(その従業員の1ヵ月の在宅勤務日数/該当月の日数)×1/2」というもの。ただし、この算式によらずに、より精緻な方法で業務のために使用した基本料金や電気使用料の金額を算出し、従業員に支給している場合も、給与課税しなくてよいとしている。
在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQは↓
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf